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通関手続中の表示が長い理由は?2回以上表示される理由も解説

国外の通販サイトなどで購入した品物の到着を確認するため追跡すると、「通関手続中」が表示される場合があります。本記事では、「通関手続中」とはどういうことか、どれくらいの期間を見込んでおくのがよいか、その具体例、2回以上表示されたりする理由などを解説します。

「通関手続中」が表示されてから届くまでの日数は?

海外のサイトなどで購入した商品は、国際郵便を使って日本の私たちの手元に配送されます。国際郵便では、購入した商品の配送状況がどうなっているかを、追跡サービスにより調べることができます。

商品の配送状況として、「通関手続中」というステップが表示されることがあります。海外で商品を購入することは輸入に該当し、輸入するには法律に従って手続きを進めることが必須です。「通関手続」とは、輸入に問題がないかを税関がチェックする手続きです。

通関手続きはどのくらいの期間を見込んでおけばよいのでしょうか。以下で、詳しく説明します。

基本的には数日で配達される

輸入の手続き審査のことですから、輸入申告などの手続きに問題がなければ、「通関手続中」は数時間程度で完了するといわれています。表示が長いことはありません。また、「通関手続中」が表示されてから、手元に商品が届くのには、1~3日程度を見込んでおけばよいでしょう。

通関手続きが完了すれば、商品は国内の配送業者の手にゆだねられるので、国内の郵便や宅急便と同程度の日数で配達が完了するからです。

1週間程度かかるケースも

特に問題がなければ、「通関手続中」の表示は長い時間ではないのです。逆にいうと、通関手続きで問題が発生すると、通関の手続きが完了せず、「通関手続中」が継続し表示が長いことがあります。それ以降のステップが開始しないことになります。こうなると、最悪、商品が届くのに1週間以上もかかることもあり得ます。

通関手続きにおける問題とは、輸入申告の問題のほか、税関や国際郵便局での通関手続きの体制も関連してきます。

国際郵便には、国際小包、EMS、国際書留郵便などさまざまな種類があります。EMS・国際小包で配送するのであれば、土日祝日でも通関手続きを行ってくれます。しかし、土日祝日は通関の手続きを行ってくれないサービスもあります。

このように、国際郵便の種類によっては、通関手続きに時間がかかってしまい、「通関手続き中」が長いことがあります。そして、商品が手元に届くのも、通常の場合よりも日数がかかってしまうことになります。

繁忙期にはさらに時間がかかる

「通関手続中」の表示は一般的には、数時間程度と説明しました。これは、商品が日本に到着してすぐに通関手続きを受けられる場合です。

クリスマス・お正月などのイベントが重なる年末年始は、輸入される商品も急増し、通関手続きが繁忙期となります。また、大手のECサイトで大規模なバーゲンセールなどが開催されると、その影響で国際郵便が混雑してしまいその影響を受けてしまうこともあります。

こうなると、商品が日本に届いても、なかなか通関の手続きを受けられず、通関の手続待ちとなってしまい、「通関手続中」が解消するのに時間がかかってしまいます。追跡画面においても表示が長いのです。

場合によっては「通関手続中」が更新されないことも

通関の手続きは、上記で説明したように、表示が長い・手続きに時間がかかることがあります。場合によっては、「通関手続中」のままで更新されず、以降の動きが全くないということもあり得ます。

日本に商品が届いて、「通関手続中」となっていれば、税関に荷物がありますので紛失してしまったということはほとんどないといってよいので、通関手続きや審査に特別時間がかかっていると考えられます。

特別時間がかかる理由としては、商品自体や通関の手続き書類などに問題があって、商品のバイヤーや購入者に問い合わせが入る場合です。もし、問い合わせに対して何の返答もなければ、通関の手続きはストップしたままとなり、「通通手続中」が継続して更新されません。

海外から日本への配達が完了するまでの日数例

海外のECサイトなどで商品を購入した場合は、実際に商品が手元に届くのにどのくらいの日数を見込んでおけばよいのでしょうか。

各国によって、郵便の取り扱いに違いにありますので、ここでは、中国、アメリカ、シンガポールから日本に向けて配送される場合の例を紹介します。

発送先の国や地域の郵便状況、その時点での国際交換局や税関の込み具合などで、日数には違いが出ますので、目安としてみてください。

中国→日本

中国の広州から神奈川県に荷物をEMSで送った場合の例です。

東京国際郵便局に到着してから「通関手続中」を経て発送するまでに1日しかかっておらずスムーズに処理されています。

また、中国の購入元が発送してから、到着するの日数も、4日程度です。

日時履歴取扱局名国/県名
2020/2/28 18:32引受 CHINA
2020/2/29 3:23国際交換局に到着GUANGZHOU EMCHINA
2020/2/29 4:32国際交換局から発送GUANGZHOU EMCHINA
2020/3/2 5:39国際交換局に到着東京国際郵便局東京都
2020/3/2 9:15「通関手続中」東京国際郵便局東京都
2020/3/2 12:55国際交換局から発送東京国際郵便局東京都
2020/3/3 0:08中継神奈川西郵便局神奈川県
2020/3/3 6:29到着座間郵便局神奈川県
2020/3/3 14:19お届け済み座間郵便局神奈川県

(https://tuisekidb.com/china-japanを参考に作成)

アメリカ→日本

アメリカのニューヨークからEMSで大阪に配送した場合の例です。通関の手続きにも時間はかかっておらず、1週間ほどで到着しています。

日時履歴取扱局名国/県名
2017/5/11 10:19引受 USA
2017/5/11 20:06区分局に到着 USA
2017/5/12 19:11国際交換局に到着USORDAUSA
2017/5/12 19:12国際交換局から発送USORDAUSA
2017/5/15 20:32国際交換局に到着大阪国際郵便局大阪府
2017/5/16 9:00通関手続中大阪国際郵便局大阪府
2017/5/16 13:52国際交換局から発送大阪国際郵便局大阪府
2017/5/17 0:28中継新大阪郵便局大阪府
2017/5/17 5:00到着茨木郵便局大阪府
2017/5/17お届け先休日等のため保管茨木郵便局大阪府
2017/5/18 14:34お届け済み茨木郵便局大阪府

(https://tuisekidb.com/usa-japanを参考に作成)

シンガポール→日本

EMSでシンガポールから名古屋へ配送する場合の例です。日本に到着するのに3日程度かかっています。日本に到着してからは、2日で手続きが済んで届けられています。

日時履歴取扱局名国/県名
2018/12/8 9:22引受 SINGAPORE
2018/12/8 9:32国際交換局に到着SINGAPORE EMSINGAPORE
2018/12/9 10:35国際交換局から発送SINGAPORE 02SINGAPORE
2018/12/12 17:43国際交換局に到着中部国際郵便局愛知県
2018/12/13 9:15「通関手続中」中部国際郵便局愛知県
2018/12/13 11:00国際交換局から発送中部国際郵便局愛知県
2018/12/13 12:23到着名古屋西郵便局愛知県
2018/12/13 17:36お届け済み名古屋西郵便局愛知県

(https://tuisekidb.com/singapore-japanを参考に作成)

 

「通関手続中」とは?

外国との貿易により商品などを輸出入するには、その商品の輸出入が法律違反していないことを検査で確認し許可を得る必要があります。また、輸入の際は税金の納付が必要です。

「通関手続き」とは、税関に輸出入の申告を行って検査・承認をしてもらい、税金を支払うという一連の手続きのことです。

海外のECサイトなどで20万円以下の商品を購入した場合は、EMSなどの国際郵便を使って配送されますが、その場合は、国内の国際交換局内で通関手続きが実施され、わざわざ、自分で税関に申告をしたりする必要はありません。

このように、国際郵便で海外から日本に商品を配送するには、通関手続きが必要であり、国際郵便の追跡サービスでは「通関手続中」の表示がされます。

「通関手続中」が2回以上表示される原因

国際郵便でも、荷物がどんな状況にあるかを調べることかが可能な追跡サービスが提供されています。

追跡サービスを見てみると、「通関手続中」が1回だけ表れるのではなく、2回以上表示される場合があります。1回で完了しないと、商品に何か輸入に関する問題があって届かないのではと心配になるかもしれません。

以下では、「通関手続中」が2回以上表示される主な要因を紹介します。なお、実際に複数回「通関手続中」が現れた場合、それぞれで何がチェックされているかは知ることができないことに留意してください。

【2回以上表示される原因】①課税対象

海外のECサイトから商品を購入した場合は、個人輸入として関税がかかります。個人輸入の場合は、海外での商品価格の60%を課税対象額とされ、課税対象額が20万円以下であれば、簡易税率が適用されます。

課税対象額が1万円以下、すなわち、商品価格が約17000円以下なら無税です。ただし、革製品やニット製品、砂糖およびその加工品、乳製品や肉に加工品などは、課税対象額が1万円以下でも無税にならず、関税がかかります。

関税がかかる場合は、関税の支払い手続きのため、「通関手続中」が再度表示されることになります。

【2回以上表示される原因】②偽ブランド品・コピー品

海外のECサイトで販売しているからといって、何でも、購入して日本国内にもちこめるわけではありません。輸入できる商品は法律で決まっており、違反すると密輸ということになってしまい法律で罰せられます。

通関の手続きで問題になるものとしてよくあるのが、有名ブランドの偽物です。偽ブランド品やコピー品とも呼ばれています。この場合も、「通関手続中」が再度表示されることになります。

通関手続きで、偽ブランド品・コピー品であったことが発覚した場合は、「認定手続き開始書」が送られてきて、再審査が行われ、個人使用目的であることが認められれば輸入が許可されて審査終了します。

なお、商用目的と判断された場合は、「廃棄」、「積戻し」、「輸入同意書の取得」、「切除」などの手続きを選択して、輸入をあきらめるか、輸入できるような別途の手続きを経ることになり、非常にやっかいです。

【2回以上表示される原因】③インボイスの不備

税関での通関手続きに必要な書類としてインボイス(仕入書)というものがあります。インボイスには、輸入の依頼主や届け先、商品の詳細な内容や数量などを記載します。

インボイスには、輸入手続きに必要な事項を記載することになっていますが、この必要事項に誤りや記載漏れ等の不備があると通関手続きを通過できません。

インボイスの訂正や訂正内容の確認が必要となるため「通関手続中」が再度表示されます。また、表示が長い場合もあります。

「通関手続中」が2回以上表示された場合の対処法は?

「通関手続中」が2回以上表示されてしまう要因には

  • 商品が課税対象の品であった
  • 偽ブランドや偽コピー品であった
  • インボイスに不備があった

などがありました。しかし、「通関手続中」が2回以上表示されているからといいて、なにか対処するためにこちらからアクションを起こすことは不要です。

ただし、上記のような場合には、税関より、確認の必要な事項や手続きに必要な事項に関して通知書の送付などがあります。それらを受け取ったら、すぐに対応することが必要です。対応が遅れれば、それだけ、商品の到着も遅れてしまいます。

また、下記の国際交換局に問い合わせをすれば、なぜ「通関手続中」が2回以上表示されているかについて情報提供してもらえるかもしれません。どうしても不安な場合は連絡してみるとよいでしょう。

税関名電話番号
東京税関 東京外郵出張所03-5665-3755
横浜税関 川崎外郵出張所044-270-5780
名古屋税関 中部外郵出張所0569-38-1524
大阪税関 大阪外郵出張所072-455-1850
門司税関 福岡外郵出張所092-663-6260
沖縄地区税関 那覇外郵出張所098-854-8292

なお、手続きを急いでもらうことはできませんので、通関手続きの催促に類する電話などは避けましょう。

EMSや国際郵便など通関手続中となっているが土日も作業は行われるの?

通関は国際交換局内の税関という国の機関の業務ですが、土日祝日に通関手続きは行ってくれるのでしょうか。

土日祝日の通関手続きは、国際郵便のサービスによって異なってきますが、EMS・国際小包などの場合は土・日・祝日にも通関の手続きを行ってくれます。

しかし、国際書留郵便を含む普通郵便の場合は、土曜日は午前中のみの対応で、日曜祝日は通関手続きは休みとなります。

「通関手続中」の表示が消える?

追跡サービスで商品の配送状況をチェックしているとき、それまでは表示されていた「通関手続中」の表示が消えてしまっていたという場合があるかもしれません。特に、海外の国を出る際の通関で見かけるかもしれません。

しかし、表示が消えたからといって商品が行方不明になったわけではありません。各国のシステムなどの事情により追跡データの表示方法が異なり、その影響で消える場合があるようです。

まとめ

本記事では、海外のECサイトなどで商品を購入し、EMSなどの国際郵便で配送指定時の追跡サービスで表示される「通関手続中」に関して説明しました。

通関手続きは輸入に関する審査および関税の支払いを行うための手続きなので、必ず実施されます。禁輸品や輸入に関する手続きに不備がある場合は、「通関手続中」が2回以上表示されることもあります。

本記事が、国際郵便を使ったネットショッピングの参考になれば幸いです。