iPhoneでは「テザリング」という便利な機能がある、と聞いたことがある人も多いでしょう。ですが、テザリングを利用するための設定をどうしていいかわからない、設定したつもりだったけれどうまく動かない、という人も少なくないのではないでしょうか。
端末側の準備を整える
「テザリング」というのは、iPhoneの携帯電話回線を使ったデータ通信機能を、iPhoneを軸とした無線ネットワークで共有するというものです。
簡単に言ってしまえば、iPhoneをモバイルルータの代わりにして、他のパソコンやゲーム機をインターネットに接続する機能ということになります。
iPhoneをモバイルルータの代わりにするわけですから、iPhoneと利用する端末の双方に無線通信のための装置が搭載されていなければなりません。ゲーム機の場合ほとんど内蔵ですから問題ないですが、ノートパソコンの一部には標準では無線通信機能が内蔵されていないことがあります(主にビジネスモデルです)。また、デスクトップパソコンの場合、内蔵されている方が稀です。この場合は、電気店などで無線通信のアダプタを購入してきましょう。
安ければ1,000円ほどです。
なお、無線通信はルータ側(iPhone)と端末側の通信規格が合っていれば行えます。iPhoneはアップルの製品だから、パソコンはMacしか接続できないんだ、などということはありません。
USB接続式の無線アダプタ。ノートパソコン等で使用します。
解決方法
「インターネット共有」を実行する
テザリング機能は、iPhone内部では「テザリング」という名称で呼ばれていません。
「インターネット共有」というのがそれに当たります。ちょっと知識のある人なら「ああこれが俗にいうテザリングだな」と検討がつくのですが、初心者にはなかなかわかりづらいでしょう。表現の改善を期待したいところです。
さて、iPhone側の「インターネット共有」の設定項目は、「設定」の下部にあります。設定そのものはさして難しいものではなく、「インターネット共有」の右側にあるボタンをタップしてオンにするだけです。こうすると、iPhoneを中心とした無線ネットワークが起動し、通信機能な端末にその旨が表示されるようになります。
Windowsパソコンならメニューバーの一番右側にアイコンがポップアップしますので、それをクリックしてネットワークに接続すれば利用できるようになります。
ただ一つだけ注意したいのは、端末側での接続作業が終わるまで、iPhoneの「インターネット共有」の画面を開いたままにしておくということです。閉じてしまうと設定できなくなるので気をつけてください。
「インターネット共有」を実行したところ。
iPhone側では「リセット戦術」
上で説明した通り、テザリングを有効にするためにiPhone側でやらなければならないことは、実に単純です。細かい処理は残らず自動化されているので、トラブルが発生した時にユーザーができることはほとんどありません。
トラブルの原因がiPhone側にある場合、そのほとんどは各種のネットワーク系の機能が立ち上がっていなかったり、競合する他の機能が終了していなかったためです。
競合する機能を個々に終了させるためのボタンというものは設けられていませんが、それらを全部まとめて終了させられる「機内モード」というボタンが用意されています。「機内モード」は、文字通り飛行機の中で使用するモードで、飛行機の計器類に悪影響を与えないように、iPhoneからすべての電波を発信しないようにするものです。電波を発信しないわけですから、すべての通信機能はオフになり、機内モードを解除すれば通信機能だけ再起動するということになります。
それでもうまくいかない場合は、システム全体を再起動してみましょう。iPhone側に原因があった場合、ここまでの操作でほとんど回復します。逆にいうとここまでやってうまくいかない場合、打つ手はないということになります。
端末側の設定を確認する
実はテザリングが失敗する原因の大半はiPhoneではなく端末側にあります。
ゲーム機は基本的な設計思想がiPhoneと同じで、難しい設定操作は残らず自動化するというポリシーで作られています。このためトラブルが発生した際の対処法もほぼiPhone本体と同じで、リセット作戦を実行することになります。
パソコンの方は、設定をいじってトラブルシューティングができるように設定されています。このため、リセット戦術を使わなくてもなんとかできることがあるのですが、そのためには結構な知識が必要です。ただし、ノートパソコンのように無線機能が内蔵されているものの場合、リセット作戦が割合効きます。パソコンの場合、何らかのトラブルがあったらネットワーク接続機能全体がオフにされることがあるので、これを再起動してやると接続ができるようになるかも知れません。デスクトップパソコンの場合、アダプタの接触不良や、ドライバと呼ばれるアダプタ動作用のプログラムのインストールミスなどが考えられます。