かわいいものから面白ネタ系まで揃ったスタンプ機能、そして無料のチャットや音声通話機能と、今やすっかり御馴染みのコミュニケーション手段となったLINE。今回は、iPhoneを機種変更する際のLINEトーク履歴の移行方法をご紹介します。
友人や家族、あるいは職場の仲間などと気軽にメッセージのやり取りが出来るのが、LINEの良いところ。
2011年の登場以降、機能の追加や改善を加えながら発展していき、今ではすっかりお馴染みのツールとなりました。
それだけに気になるのが、機種変更時のトーク履歴の移行について。
この記事では、そんな気になるポイントを解説していきます。
はじめに:移行できる場合とできない場合
FacebookやTwitterなどは、機種変更を行っても、新しい端末でそれぞれのアプリやサイトからログインすれば、過去のコメントやメッセージも含めて元通りにすることが出来ます。
しかし、残念なことにLINEでは、こうした移行作業に一部制限があります。
具体的には、こんな感じです。
移行できる条件と対象データ
トーク履歴
移行できる条件
- 古いiPhone→新しいiPhone、古いAndroid→新しいAndroidといったように、同じOS間の機種変更であること。
- iPhone→Androidやその逆のように、異なるOSを跨いでデータ移行することは出来ません。
- 古いiPhoneと新しいiPhoneで同じApple IDを使っていること
- iCloud経由でトーク履歴の復元を行う場合は、旧端末と新端末で同じApple IDを使っている必要があります。
- 古い端末と新しい端末で同じLINE IDを使っていること
移行できる内容
- テキストチャットのデータ
- チャットでやり取りした画像や動画のサムネイル 元ファイル(拡大ファイルなど)は引き継げません。
スタンプ・着せ替えデータ
移行できる条件
- 旧端末と新端末の両方で、同じLINE IDでログインしていること。
- スタンプや着せ替えのダウンロードデータはLINE IDと紐付いているので、新端末で異なるLINE IDを使うと再ダウンロード出来なくなります。
移行できる内容
- ダウンロードしたスタンプや着せ替えのうち、期限切れとなっていないもの。
- 有料・無料は問いません。
- 新端末でログイン後、再ダウンロードが必要です。
LINEコインの残高
移行できる条件
- 古いiPhone→新しいiPhone、古いAndroid→新しいAndroidといったように、同じOS間の機種変更であること。
- iPhone→Androidやその逆のように、異なるOSを跨いで残高を移行することは出来ません。
- 古い端末と新しい端末で同じLINE IDを使っていること
- LINEコインの残高はLINE IDに紐付いているので、新端末でも旧端末と同じLINE IDを使う必要があります。
移行できる内容
- LINEコインの残高全額
こうしてみると、案外制約が多いことがわかります。
トーク履歴もそうですが、OSが変わるとLINEコインの残高を移行できないというのは、課金されている方には結構痛いですね。
なお、新しい端末に旧端末と同じLINE IDでログインすると、旧端末は自動的に使えなくなるので、たくさん課金していた方は、それを使い切ってから機種変更する方が現実的かもしれません。
旧iPhone→新iPhoneへのトーク履歴復元方法
前項をご覧頂くとわかるように、LINEが公式にデータ移行を提供しているのは、同じOS間の機種変更時のみとなっています。
そこで、この記事では古いiPhoneから新しいiPhoneへ機種変更する場合を例に、その利用方法をご紹介していきたいと思います。
やり方は大きく分けて2つ。
- LINEのトーク履歴バックアップ&復元機能を利用する
- PC / Macを使わずにできますが、手順が多いのでかえって時間が掛かることもあります。
- iTunesの暗号化バックアップ機能を利用する
- iTunesをインストールしたPC / MacとLightningケーブルが必要ですが、他のアプリやデータのバックアップ&復元と同時にできるので効率的です。
機種変更前の準備(共通)
旧端末のLINEでメールアドレスとパスワードを登録する
データの移行を行うには、機種変更前に、古いiPhoneのLINEでメールアドレスとパスワードを登録しておく必要があります。
機種変更をして古いiPhoneを下取りに出したり、売却した後だと、どう頑張っても復旧するのは不可能です。
この作業は機種変更の前に必ず行っておきましょう。
やり方
- LINEを開く
- 画面下の「その他」をタップ
- 「設定」を選ぶ
- 「アカウント」を選ぶ
- 「メールアドレス登録」を選ぶ
- 登録するメールアドレスとLINEログインに必要なパスワードを決めて入力する
- 登録したメールアドレスにLINEから確認メールが届くので、表示されている認証番号をメモする。
- 前述の認証番号をLINEに入力する
- 「登録する」をタップする
補足:機種変更で電話番号が変更になる場合
機種変更時に電話番号も一緒に変更される場合、上記のメールアドレス登録に加え、「アカウント引き継ぎ設定」も必要になります。
なお、下記の作業実行後、24時間以内に新しいiPhoneでLINEにログインする必要があるので、実際にこの作業を行うのは新しいiPhoneを入手してからにしましょう。
アカウント引き継ぎ設定
- LINEを開く
- 画面下の「その他」をタップ
- 「設定」を選択
- 「アカウント引き継ぎ設定」を開く
- 「アカウントを引き継ぐ」をONにする
iOSを最新版にアップデートしておく
トーク履歴のバックアップ時と復元時でiOSのバージョンが異なると、上手く復元作業を行えない事があります。
バックアップ前に必ずiOSを最新バージョンにアップデートしておきましょう。
もし、古い端末を使っているといった事情で最新バージョンにできないときは、後述するiTunesを使ったバックアップを利用すると良いでしょう。
iCloudドライブをONにしておく
LINEのバックアップ機能は、Appleの「iCloudドライブ」というサービスを利用します。
これはiPhone側からON/OFFの切り替えができるので、事前にONにしておきましょう。
バックアップを取る側だけでなく、復元先のiPhoneも作業前にこれをONにしておく必要があります。
やり方(iCloudに未ログインの場合)
- ホーム画面から「設定」アプリを開く
- 一覧から「iCloud」を選択
- AppleIDのメールアドレスとパスワードを入力
- 「サインイン」をタップする
- 2ファクタ認証の画面が表示される場合は、画面の指示に従って登録作業などを行う。
- 2ファクタ認証未登録の場合は、「2ファクタ認証を使用しない」をタップすることで、一旦登録作業を回避することが出来ます。
- ただし、2ファクタ認証を設定した方がセキュリティリスクは下がるので、後で改めて設定しておくと良いでしょう。
- 位置情報の共有についての画面が表示された場合は、問題なければ「使用」をタップしてください。
- カレンダーやSafariデータの結合についての画面も、同様に問題なければ「結合」を選んでください。
- iCloudの画面が表示されたら、一覧の「iCloudドライブ」がONになっているか確認します。
- 元々iCloudにログイン済みの方は、iCloudの画面から「iCloudドライブ」がONになっているか確認すれば大丈夫です。
LINEのバックアップ機能を使ったトーク履歴のバックアップと復元
まずはLINEのバックアップ機能を利用した、古いiPhoneからのトーク履歴のバックアップ、及び新しいiPhoneでトーク履歴を復元する方法をご紹介します。
バックアップ
さて、準備ができたら、いよいよバックアップに入りましょう。
作業の手順は以下の通りです。
LINEを使ったトーク履歴バックアップ方法
- LINEを開く
- 画面下の「その他」を選択
- 「設定」をタップ
- 「トーク・通話」をタップ
- 「トークのバックアップ」をタップ
- 「今すぐバックアップ」をタップして、バックアップ完了まで待つ。
復元
バックアップが完了したら、次は復元作業です。
なお、復元を行えるのは、LINEにログインした直後(簡単に言えば、新しいiPhoneにLINEを入れて起動した直後)のみです。
それ以外の任意のタイミングで復元することはできないので、注意してください。
また、LINEを起動する前に、新しいiPhoneでもiCloudドライブをONにしておくのを忘れないようにしましょう。
LINEを使ったトーク履歴復元方法
- LINEを開く
- 「ログイン」を選択する
- LINEに登録したメールアドレスとパスワードを入力する
- 「OK]を選択する
- 「以前に使用していた端末ではLINEを使えなくなる」という旨の警告画面が出るので、「OK」を選択。
- 今使っているiPhoneの電話番号を入力する
- 「番号認証」を選択する
- SMSを送信する旨のポップアップが出るので、「OK」を選ぶ。
- SMSでiPhoneに認証番号が送られてくるので、それをLINEに入力する。
- 「次へ」を選択する
- 「トーク履歴の復元」が出てきたら、「トーク履歴をバックアップから復元」をタップ。
- 年齢確認の画面が出たら、必要に応じて確認する・しないのどちらかを選択する。
- LINEのトーク相手一覧の画面になるので、これで復元作業は完了。
- 購入したスタンプや着せ替えは手動で復元することになるので、必要に応じて作業を行ってください。
注意点
iCloudドライブには容量制限があります
iCloudドライブが無料で使えるのは、最大5GBまでです。
この容量はiPhoneのバックアップデータなど、他のデータと共有しているので、特に複数のiOS端末やMacを持っている方は要注意。
容量が足りない場合は、有料プランを使って追加するか、後述のiTunesを使ったバックアップ方法を利用してください。
バックアップ元と復元先はiPhoneに限られます
iCloudドライブを利用している関係上、バックアップ元や復元先はiPhoneに限定されます。
Android端末やWindows Phoneなどにデータを移行することはできないので、注意してください。
画像や動画データの原本は残りません
トーク中にアップされた画像や動画は、トーク中にサムネイルとして表示されますが、大きなサイズで見たり、保存したりすることは出来ません。
バックアップ完了~復元作業完了までの履歴は保存されません
当然ですが、バックアップ完了~復元作業完了までの間にチャットや通話のやり取りを行っていても、それはバックアップも復元も行われません。
よって、バックアップ~復元までの作業はできるだけ間を開けないようにしましょう。
iTunesの暗号化バックアップ機能を使う方法
続いて、iTunesをインストールしたPC / Macを使い、暗号化バックアップ機能を利用してトーク履歴のバックアップと復元を行う方法をご紹介します。
事前の準備
PCにiTunesをインストールする
- Windowsの場合
- 以下のページから最新のiTunesをダウンロードして、インストールしてください。
- Macの場合
- Macは標準でiTunesがインストールされているので、特別な作業は不要です。
- ただし、バージョンアップされたものがないか、MacAppStoreの「アップデート」タブからチェックしておくのが良いでしょう。
PC/Macのストレージの空き容量を確保する
iPhoneの中身をまるごとバックアップするので、PCやMacのストレージにもそれなりの空き容量が必要です。
容量不足の場合は作業中に警告が出て先へ進めなくなるので、その時はPC/Macから不要なデータを削除したり、外付けHDD等にデータを逃がすといった方法で空き容量を確保しましょう。
まぁ、そもそも論として、iPhoneのバックアップを保存する余裕もない空き容量というのは、PCにとって決して良い状態とはいえないのですが……。
バックアップ
iTunesでのバックアップ方法(windows版iTunesの場合)
- PCでiTunesを起動させ、iPhoneをLightningケーブルで接続します。
- Windows版ではメニューバーの「コントロール」の下辺りにiPhoneのマークが出ますので、それをクリック。
- 画面中段「バックアップ」の項目内にある、「iPhoneのバックアップを暗号化」にチェックを入れる。
- このパスワードを忘れるとデータを復旧できなくなるので、必ず忘れないように気をつけてください。
- 同じ項目内の「今すぐバックアップ」をクリックしてバックアップを開始する。
復元
- PCでiTunesを起動させ、iPhoneをLightningケーブルで接続する。
- バックアップを取る際と同様に、iPhoneマークをクリックする。
- 画面中段の「バックアップ」から「バックアップを復元」を選択
- パスワードを訊かれるので、バックアップ時に使ったパスワードを入力。
- iPhoneの復元作業が始まるので、そのまま完了まで暫し待つ。
注意事項
- 作業中もPCやMacで別のアプリを利用することはできますが、iPhoneのバックアップ作業は割と負荷の掛かりますし、誤操作の原因にもなるのでお勧めはしません。
- バックアップ作業を行った時点でのトーク履歴のみバックアップされるので、バックアップ完了から復元作業までにやり取りした履歴は保存出来ません。注意してください。
まとめ:制限は多いけど、iPhone同士ならトーク履歴は移行可能
というわけで、今回はiPhone同士で機種変更をする場合の、LINEのトーク履歴バックアップと復元方法についてご紹介しました。
FacebookメッセンジャーやGmailなどのWebメールとは異なり、残念ながら今のLINEではトーク履歴の移行にはかなりの制限があります。
しかし、以前はiPhone同士でも暗号化バックアップ以外にトーク履歴の移行ができなかった事を考えると、着実に状況は改善に向かっていると言えるでしょう。
ただ、iPhoneやAndroidといったプラットフォームや通信会社に囚われずに使えるのがLINEの長所でもあるので、将来的には異なるOS間でのトーク履歴やLINEコイン残高の移行にも対応して頂きたいものです。
それでは、快適なiPhoneライフを♪
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