ポケットWi-Fiのサービス関連の情報を集めようとすると、すぐに出てくるのが「WiMAX」という単語です。また、さらに少し調べると「LTE」という言葉が出てきます。これは一体どういう意味なんでしょうか。ずばり解説しましょう。
WiMAXは元々はデータ通信の規格の名前
インターネットは世界的な規模の光ファイバー網によって構成されています。この光ファイバー網と一般家庭との間を「ラストワンマイル」と言い、この部分の接続方法をどのようにして安価にかつ快適に提供するか、というのが通信事業者の課題となっていました。
ラストワンマイルの接続用として、かつては電話回線が注目され、ADSLなどの接続手段が提供されました。
しかし、将来的には一般電話回線が普及していない地域にもインターネット接続手段を提供しなければならない、と考えた通信事業者たちは、無線を使ってラストワンマイルの接続を確保することを思いつきます。こうして制定されたのが、通信規格としてのWiMAXです。
このWiMAXの一種であるモバイルWiMAXによる通信インフラは、日本においてはKDDIのグループ企業であるUQコミュニケーションズによって構築されました。
それと同時にモバイルWiMAXを使ったインターネット接続サービスを「UQWiMAX」という名前で提供し始めます。
これによって、UQコミュニケーションズの持つWiMAX回線を使ったインターネット接続サービス全体も「WiMAX」と呼ばれるようになります。
WiMAXとWiMAX2+
モバイルWiMAXの規格では、通信速度は64Mbpsとされていました。
しかし技術の進歩により、さらに高速な接続が可能になり新しい規格が制定されます。これがWiMAX2で、最大速度は160Mbps以上に引き上げられます。
現在ではさらに高速な「WiMAX2+」へと進化しており、下り最大速度は370Mbpsにも達しています。なお、厳密に言えば「WiMAX2+」はUQコミュニケーションズが提供するWiMAXをベースにした接続サービスのブランド名で、通信規格の名称ではなくなっています。
WiMAXとWiMAX2+では無線通信で使用する周波数が異なっているため、提供エリアも微妙に異なります。当初はWiMAX2のエリアはWiMAXのエリアよりもずっと狭かったのですが、その後のインフラ整備により、現在ではWiMAXのサービスエリアとほぼ変わらないレベルまで拡大しました。
WiMAXとWIMAX2+の関係
WiMAX | 無線によるデータ通信用の規格。俗に言う「WiMAX」はモバイルWiMAXというWiMAX規格の一部。 |
WiMAX2+ | UQコミュニケーションズが提供するモバイルWiMAXを発展させたサービス |
LTEとは
WiMAXはインターネット接続を無線で、という発想から生まれた規格ですが、LTEは携帯電話の通信規格として生まれ、携帯電話の回線を使って高速なデータ通信を実現するために発展してきたものです。
なお、たまにキャリアなどの資料で「4G」あるいは「4G回線」という言葉が見つかりますが、これはLTEとほとんど同じ意味です。
「4G」は「第四世代」の携帯電話通信で、この通信に使われている規格がLTEという関係になります。
LTEは元々携帯電話用の規格として生まれましたが、3G(第三世代)から4Gでは音声通信部分はほとんど進化しておらず、データ通信の高速化に主眼が置かれています。
ですから事実上、LTEはモバイルWiMAXとよく似たデータ通信の規格になった、と考えてもいいでしょう。少なくとも一般利用者にとっては、完全に同種の規格であると考えても差し支えありません。ちなみにWiMAXも後から4G通信であると公式に認定されています。
より噛み砕いて言えば、auが属するKDDIグループが提供するモバイル・インターネット接続サービスが「WiMAX」であり、ソフトバンク・ワイモバイルとdocomoが提供するモバイル・インターネット接続サービスが「LTE」である、ということになります。
LTEもWiMAX2+のように後から通信速度をアップする改善が随時施されています。ソフトバンクグループが使っているLTEは、「AXGP」という規格に基づくLTEの発展型です。
キャリアごとの通話・データ通信回線の違い
通話 | データ通信 | |
docomo | LTE | LTE |
KDDIグループ | LTE | WiMAX(一部LTE) |
ソフトバンクグループ | LTE | LTE |
速度は本当に違うのか?
2016年7月現在、カタログ数値上ではLTEよりもWiMAX2+の方が高い速度が出る、とされています。
ただし無線接続の速度は、タブレットやゲーム機などのWi-Fi端末に内蔵されている無線機能の能力、モバイルルータの性能、回線の電波状況などによって変化します。
端末が使っている無線機能の上限速度が54Mbps程度であった場合、下り最大速度が160Mbpsのソフトバンク系のLTEも、370MbpsのWiMAX2+も、その真価を発揮することができません。
またモバイルルータと基地局の間に遮蔽物があったりすると、通信速度はみるみる低下します。端末の能力が高く、かつ基地局との通信状態が良好であったとしても、同じ基地局を利用する人が多い場合には、回線が混雑して通信速度は低下してしまいます。
こうした個別の事情による差異が非常に大きいので、ネットの口コミ情報もあまり参考にはなりません。
ただ、混雑具合についてだけは、その回線を提供している企業のポリシーなどがある程度反映されるので、口コミ情報にもある程度の信ぴょう性が出てきます。
かつてはWiMAX系の方が混雑率が低いと言われたことが多かった(心もち程度)のですが、現在および今後はWiMAXを利用するプロバイダが増加したため、この「常識」もいささか古いものとなりつつあります。
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