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生成AIは1種類じゃない?代表的な4種とサービス活用事例を紹介

生成AIは、事前に学習したデータをもとにテキストや動画・画像などの新しいコンテンツを作りだします。

最近では、多種多様な生成AIが企業でだけなく、個人間でも役立てられています。

この記事では、生成AIの代表的な4つの種類やコンテンツごとの生成モデル、活用サービスについて紹介します。

生成AIの種類は4つ!コンテンツ別に紹介

生成AIには、コンテンツ別に4つの種類があります。

厳密には生成AIのコンテンツ形式は幅広く会話型や要約型、記事作成型などと細かく細分化される場合もあります。

生成AIから求める成果物を得るには、用途に合わせて生成AIを選択し、使い分けることが重要です。

近年は、画像や動画分野の生成AIに注目が集まっていますが、テキストや音声の分野も技術が進み、成長をしつつあります。

この章では、コンテンツ別に生成AIの代表的な4つの種類について紹介します。

【作業の自動化に役立つ】テキスト生成

生成AIの1種類目は、テキスト生成AIです。

テキスト生成AIは、ユーザーの指示に対して膨大な学習データに基づいて内容を理解し、そのあとに続く可能性のある文章を予測して回答を導きます。

近年注目されている「ChatGPT」は、人間と会話するような自然な文章生成が可能です。

テキストAIは、マーケティングやカスタマーサービス、教育現場などでも活用され、業務支援や効率化に一役買っています。

一方、情報の正確性やセキュリティーなど、今後の活用に向けて解決すべき課題もあるのが現状です。

【絵が苦手でも大丈夫】画像生成

生成AIの2種類目は、画像生成AIです。

画像生成AIは、ユーザーの指示に基づいて高品質なオリジナル画像を生成します。

また、画像の色や形の変更・不要部分の削除を行う画像編集や画像修復などを行うことも可能です。

広告業界や映画、ゲームデザインなどのクリエイティブな分野だけでなく、医療分野でも診断支援として活用されています。

短時間で高品質な画像を生成できるため、業務サポートやクリエイティブな活動時間の確保、新規アイディア創出など幅広い活用に期待が高まっています。

【開発難度の高い】動画生成

生成AIの3種類目は、動画生成AIです。

動画生成AIは、ユーザーが指示したテキストや動画・音声などの情報をもとに短い動画を生成します。

動画編集などの専門的な知識も不要で、撮影・編集・音楽挿入などの複数工程もすべてこなすためコストや時間の削減を実現しつつ、高品質な動画の作成が可能です。

テキストなどに比べ、短時間で多くの情報を伝えられることや視覚的にもわかりやすいことから、企業のプロモーションや教育の現場でも活用されています。

動画生成AIは発展途上の技術ですが、今後さらに活躍の幅が広がっていくことが期待されます。

【音を自在に操る】音声生成

生成AIの4種類目は、音声生成AIです。

音声生成AIは、ユーザーから与えられた音声データの特徴を学び取り、人間に近い自然な音声を生成できます。

技術の発展によって声の再現性は格段に高まり、銀行の声紋認証を突破した事例もあります。

現在の音声生成AIは、多言語に対応した音声ガイドや視覚障害者の方のための読み上げサービスなど音声コンテンツでの活用が主流です。

しかし、今後は音声コンテンツだけでなく、教育やマーケティング・エンターテイメントなど幅広い分野での活用に期待が高まっています。

生成AIに用いられる生成モデルの種類

生成AIを形作る生成モデルとは、人工知能の一種で既存データを学習し、新規のコンテンツを生み出すプログラムのことを指します。

生成モデルには、用途や対応分野・AIの性質に応じて複数のモデルが存在します。

近年話題となっている「ChatGPT」に使用されているGPTも代表的なモデルの一つです。

この章では、生成AIに活用されている代表的な4つの生成モデルについて紹介します。

GPT|自然言語処理モデル

GPTは、アメリカの非営利団体OpenAIが開発した自然言語処理モデルです。

このモデルは、最近話題の「ChatGPT」に採用されています。

高い言語処理能力を持ち、人間と会話するような自然な文章生成が可能です。

ビジネスメールや記事作成などの文章生成だけでなく、要約や誤字脱字のチェック、リサーチ補助、アイディア提案など幅広く活用されています。

汎用性も高く、多くの場面で活用される一方で情報の正確性やセキュリティー問題などの課題も抱えています。

VAE|ディープラーニング技術を活用した画像生成モデル

VAEとは、ディープラーニング技術を取り入れた生成モデルで、画像生成AIに採用されています。

VAEは、学習用データから特徴を見つけ出し、そのデータの特徴をもとにして類似した新しいコンテンツを生成できるのが特徴です。

例えば、特定の人物の作品を複数学習させれば、その作品の類似点を探して作品の特徴を残した新しい作品を生み出すことができます。

また、複雑な画像の特徴を捉えることにも優れているため、工業製品の異常を見極める際にも活用されています。

GAN|2種類のネットワーク構造を利用した画像生成モデル

GANは、「Generator」と「Discriminator」の2つのネットワーク構造を活かして画像を生成するという特徴を持った画像生成AI採用のモデルの一つです。

この2つの画像生成の仕組みは、まるで異なります。

Generatorはランダムに生成されたデータ、Discriminatorは学習用の正しいデータを表し、GeneratorがDiscriminatorに近づくようにぶつけ合うことで高度な画像を生成します。

GANは、プロンプトから新規画像を生成したり、低解像度の画像から高解像度の画像を作成したりすることが可能です。

拡散モデル|GANの進化系モデル

拡散モデルは、GANの進化系といわれる画像生成AIに採用されている生成モデルです。

学習用の画像に一度ノイズを付け加え、その画像からノイズを取りのぞいて元の画像を復元するプロセスを繰り返します。

このプロセスを繰り返し、画像生成の仕組みを学習させることによって、高度な画像生成が可能です。

高解像度の画像生成が可能な拡散モデルの登場により、従来画像生成の主流であったGANとの世代交代が進んでいます。

生成AIを活用したサービスを種類別に紹介

生成AIは、私たちの日常生活において身近な存在になりつつあります。

無料で利用できるサービスも多く、うまく活用すれば仕事の効率化や品質の向上が可能です。

テキスト生成AI一つをとっても1種類や2種類ではなく、その種類の多さからも将来への期待がうかがえます。

この章では、生成AIを活用したサービスをコンテンツの種類別に紹介します。

活用事例1:テキスト生成AI

1種類目は、テキスト生成AIです。

テキスト生成AIは汎用性が高く、テキストによる会話や文章の作成・要約・修正、情報収集などにも活用されます。

年代を問わず活用でき、一般の方にとって最も身近な生成AIといえるでしょう。

OpenAi開発の生成AI「ChatGPT」

ChatGPTは、アメリカのOpenAiI社が開発した対話型AIであり、人とやり取りするような自然な文章生成が可能です。

約25万冊分の膨大なテキストデータを学習し、そのデータに基づいて質問のあとに続く可能性の高い文章を予測して回答を導きます。

文章生成だけでなく、要約やアイディア提案、関数など汎用性が高い一方で、情報の正確性やセキュリティなど課題も多くあります。

GoogleとDeepMindの共同開発「Gemini」

Geminiは、Googleが開発した対話型AIで大規模言語モデルを搭載しています。

2つ以上の異なるコンテンツから情報を集め、統合して処理するマルチモーダル機能はこれまでの生成AIモデルになく、Geminiの特徴といえるでしょう。

文章生成や翻訳では高い能力を発揮し、複雑な質問への回答や文章の要約も得意です。

活用事例2:画像生成AI

2種類目は、画像生成AIです。

画像生成AIの技術は、バーチャル試着などにも活用されています。

一見馴染みがないようですが、大手出版社が生成AIを活用し作成した写真集を発売するなど、話題性もあるコンテンツ分野です。

オープンソースが特徴「Stable Diffusion」

Stable Diffusionは、イギリスのベンチャー企業Stability AIが開発した画像生成AIであり、画像生成AIとして高い知名度を誇ります。

SNSにStable Diffusionを活用して生成された画像が出回るなど、身近な存在となりつつあります。

Stability AIの「誰もが自由にAI技術を活用できるようになるべきである」という考えのもと、コードが無料公開されている点もStable Diffusionの特徴です。

オンラインデザインツール「Canva」

無料のグラフィックデザインツールとして有名な「Canva」には、「Text to Image」や「Mojo AI」と呼ばれるAIを活用した画像生成機能があります。

「Text to Image」「Mojo AI」共に無料プランで使用でき、テキストを入力すると1回につき4枚の画像が生成されます。

架空のイメージも生成できるため、アイコンやパンフレットデザインなどに活用可能です。

活用事例3:動画生成AI

3種類目は、動画生成AIです。

動画は短時間で多くの情報を伝えられるだけでなく、情報の均衡性が保たれることや何度でも見直返せることなどのメリットから、教育教材として活用されています。

動画編集などの専門知識も不要で、誰でも簡単に高品質な動画が作成できます。

クオリティの高さが魅力「Sora」

Soraは、ChatGPTと開発したOpenAI社が2024年2月に発表した動画生成AIです。

現実と見分けがつかないほど高品質の動画生成が可能で、物理法則を正確に反映した影や水の流れ、窓に反射した景色などはAIの専門家が目を見張るほどです。

現在は一般公開されていないSoraですが、今後アニメ映像や映画など幅広い分野において高い技術力の活用が期待されています。

Google未公開の動画生成AI「Lumiere」

Lumiereは、Google Researchが2024年1月に発表した動画生成AIです。

コードやテキストから1024×1024ピクセルの5秒間の動画を生成でき、創造性や表現力を重視した動画は「リアルな動画生成のための時空拡散モデル」と称されるほどです。

GoogleはLumiereの目的を「初心者ユーザーでも創造性のあるビジュアルコンテンツを生成できるようにすることである」としています。

活用事例4:音声生成AI

4種類目は、音声生成AIです。

音声AIは、スマホの音声アシスタントやスマートスピーカーなどの家電にも活用されており、日常の小さな障害を解消します。

高い再現性に注目が集まる一方で、ディープフェイクにも悪用され、社会問題にもなっています。

Microsoftリリースの合成AI「VALL-E」

VALL-Eは、Microsoftが開発した音声合成モデルです。

3秒の音声サンプルのみで、その人の声を忠実に再現した音声を生成可能です。

本人が話しているような高い再現性に加え、録音環境や感情表現にも対応しており、音声合成技術の高さを物語っています。

今後は、教育やエンターテインメント分野での活躍も期待されています。

日本発の音声合成AI「Voicevox」

VOICEVOXとは、ヒホという日本人エンジニアが開発した無料の音声合成ソフトです。

音声合成だけでなく、スピードや抑揚の調整・キャラクターボイスでの読み上げなど機能が豊富なため、幅広い用途で活用されています。

また、ソースコードが公開されており、開発知識のある方であれば自在にカスタマイズできます。

まとめ

生成AIは、コンテンツ別にテキストAI・画像AI・動画AI・音声AIの4種類に分類できます。

ユーザーの入力する指示に応じて、文書や画像、音声などを生成するという基本の機能に違いはありません。

一方で、それぞれ得意とする分野や特徴に違いがあり、テキストAI一つをとっても何十種類のモデルやサービスがあります。

これまでのAIは、自分たちの生活からは少し遠い存在だったかもしれません。

しかし、近年の急激な成長によってその存在はぐっと近づき、日常生活のいたるところで活用されています。

無料で提供されるサービスも多く、専門の知識も不要で誰でも手軽に利用可能であることから、ユーザー数の増加も容易に予測できます。

生成AIを活用するにあたり、利用者自身がそれぞれの特徴を理解し、利用目的に応じて最適なツールを選択することが重要です。