iPhoneの脱獄とはApple社がiPhoneのiOSに設けた制約を強制的に解除し、本来は利用できない機能やアプリなどを使えるようにする方法です。
このiPhoneの脱獄に違法性はないのかどうか、またそのメリットとデメリットにはどんなことがあるのか詳細に解説していきます。
一度脱獄させたiPhoneを元に戻すことができるのか、またiPhoneの脱獄で得られるものと失うものを比較して検証します。
目次
iPhoneの脱獄とは何か?
iPhoneの脱獄とは、Apple社がiPhoneに設けている制約を、iOSごと改変することでその制限を取り払う一種の改造のことを意味しています。
脱獄はiOSへ行うことですので、iPhoneに限らず、Apple社のデバイスであるiPad・iPod touchに対しての脱獄も可能です。
ではなぜiOSの改造のことを「脱獄」などという物騒なネーミングにしたのか、その背景を以下に説明しましょう。
脱獄=「jailbreak(ジェイルブレイク)」
脱獄とは「jailbreak(ジェイルブレイク)」、すなわち監獄(=jail )を脱するという意味での命名を表します。
なぜ「脱獄」と呼ばれるようになったかは、開発・提供先であるApple社の管理の下から逃れて、iOSの制限を解除し自由になるということに由来します。
AndroidスマホでもOSを改造する行為が用いられることがありますが、こちらは「root化」と呼ばれ、iPhoneの「脱獄」とは区別されているようです。
脱獄とはiOSを改変すること
脱獄とは前述した通り、iPhoneの基本プログラムであるiOSを改変し、Apple社のiPhoneへの制限を取り除く「裏ワザ」のことです。
iPhoneは脱獄を通じて、通常では利用できない機能が使えるようになり、本来インストールできないアプリが活用できるようになります。
しかし詳細は後述しますが脱獄で自由度を得る代償として、端末の動作不安定・ウイルス感染のリスク増大・Appleサポート対象外になることなど、様々なデメリットを背負うことになるでしょう。
iPhone脱獄の違法性について
iPhoneの脱獄とは、基本プログラムの改造行為なので、それ自体に違法性はないのでしょうか。
「脱獄」という言葉を使うことからも、違法性を連想させる悪いイメージがあると感じる人は多いでしょう。
実はこのiPhoneの脱獄については、開発元・Apple社のあるアメリカ本国と、日本では異なる解釈が存在しています。
iPhoneの脱獄はアメリカでは違法!
iPhoneの脱獄に関しては、Apple社はそれが違法行為であるとして提訴しています。
その際の判例はアメリカの「デジタミレニアム著作権法」を基にして、2012年10月を以って2013年以降購入した「iPhone/iPad/iPodの脱獄は違法である」と認定されました。
iPhoneの脱獄は日本ではグレーゾーン?
上記の通りiPhoneの脱獄は、アメリカの法律においては基本的に違法です。
ところが日本には「デジタルミレニアム著作権法」や、これに付帯する法律が存在せず、iPhoneの脱獄行為は「グレーゾーン」となっています。
つまり法律的には違法でないが、Apple社の「利用規約」違反として、サポート対象外となるペナルティは存在するという解釈になるでしょう。
iPhone脱獄のメリットとは?
iPhoneの脱獄は制限を解除して出来ることを増やす点において、メリットがあることは間違いないと言えるでしょう。
iPhoneの脱獄で得られるメリットについて、代表的な可能性をいくつか紹介しましょう。
ただしiPhoneとiOSの進化に伴い、それまで不可能だったことが出来るようになり、脱獄で得られるメリットは減少傾向にあります。
メリット①:非公認アプリのインストールが可能に
iPhone脱獄のメリットの第一は、App Storeを通過していない、非公認のアプリも使えるようになることでしょう。
しかし本来App Storeで有償提供されるアプリを、支払なしで利用することは違法行為ですから、十分注意してください。
Android系のみで使えるアプリや、App Storeの基準を満たさないアプリが使いたい場合に、iPhoneの脱獄は有効です。
メリット②:カメラのシャッター音が消せる
iPhone脱獄をしますと、カメラのシャッター音を消せるようになります。
スマホでは基本プログラムレベルで、盗撮利用の防止策として、カメラ動作時にはシャッター音が鳴るように制御されているのです。
シャッター音は通常のボリュームコントロールでは消音できませんので、脱獄でシャッター音を消したいというニーズがあります。
しかしこの目的で、シャッター音を消して盗撮を行えば、当然犯罪行為となってしまいます。
メリット③:アイコン・壁紙を自由にカスタマイズ可能
iPhoneではホーム画面にアイコンがフラットに並ぶ仕様になっていますので、それらをもっと自由にカスタマイズするために脱獄が行われることもあります。
iOS15を含むそれ以前のiPhoneでも、ホーム画面の壁紙の変更はできましたが、iOS16からはロック画面のカスタマイズ機能が追加されました。
古いiPhoneでは画面カスタマイズの自由度が低かったため、脱獄するケースがあったのですが、その進化によって脱獄の必要は薄れたと言えるでしょう。
メリット④:SIMロックの解除が可能に
iPhone13以降の端末については、SIMロックは原則禁止となりましたので、SIMロックの解除で悩まされることはなくなりました。
しかしそれ以前の古いiPhoneでは、脱獄によってSIMロック解除が可能なケースも散見されたようです。
現状ではSIMフリー端末しか新規iPhoneは販売されないため、このメリットについては、ほぼ消滅した過去のものとなりました。
iPhone脱獄のデメリットとは?
ではiPhone脱獄のデメリットには、どんなことがあるのでしょうか。
上述したメリットの項目でも触れたように、脱獄で得られるメリットの中には、新しくなったiPhoneではもう無用のものが存在しました。
反面、iPhone脱獄のデメリットは、今でもかなり深刻なダメージをもたらすものが多くあるようです。
デメリット①:Appleサポート・キャリアの保証対象外になる
iPhone脱獄のデメリットで第一に挙げられることは、Appleサポート並びに契約キャリアにおいて、ほぼ全面的に保証の対象外となることです。
これは端末の改造行為という、利用規約に反することを行っているので、当然の措置と言えます。
脱獄したことで端末が故障しても、修理に関しては全額負担になることは珍しくなく、金額は膨大で買い替えになる可能性もあるでしょう。
デメリット②:セキュリティ低下でウイルス感染しやすくなる
そしてiPhoneを脱獄されると、制限から解放される反面、セキュリティレベルが低下してウイルス感染するリスクは増大します。
iPhoneがウイルス感染しにくいと言われていたのは、Apple社がiPhoneに対して、制限をかけていた面も寄与しているのです。
マルウェア感染による、個人情報漏洩などには、特に気をつける必要が出てくるでしょう。
デメリット③:端末の動作が不安定になる
基本プログラムであるiOSを改変するので、端末の動作はそれにつれて、不安定になることも避けられません。
iOSが最新のバージョンであることが、そのiPhoneが安定して動くための条件です。
デメリット④:バッテリー消耗が激しくなる
そしてiPhone脱獄によって制限が解除され、色々と便利に幅広く使えるようになったために、バッテリー消耗は激しくなります。
本来iOSが電源やストレージ、その他デバイス内部の動きを制御していますので、それを改変すれば消耗を抑える働きがなくなるのです。
iPhone脱獄でのメリット・デメリットでは、新しいiPhoneになればなるほど、デメリットが大きくなるでしょう。
脱獄したiPhoneを元に戻すことはできる?
では脱獄したiPhoneは、元の状態に戻せるのでしょうか。
これは手順に沿って「初期化」を行えば戻せることがほとんどですが、全てのデータは消滅しますし、脱獄の履歴が残ってしまいアフターサポートに影響する可能性はあります。
必ず元に戻せるとは限らないので、iPhoneの脱獄については、よく考えてから行ってください。
まとめ
iPhoneの脱獄、通称「jailbreak(ジェイルブレイク)」は、Apple社のiOSを改変して制限を解除させる方法を指します。
iPhone脱獄で得られるメリットとデメリットを比較しましたが、新しいiPhoneになるほど、メリットが少なくデメリット優勢となるようです。
iPhoneの脱獄そのものは法的には違法ではありませんが、Apple社の利用規約には完全に反しますので、サポート対象外になることが大きなデメリットとなります。
その他にもウイルス感染リスク増大や元に戻せなくなるなど、決定的なダメージが想定されますので、脱獄は全て自己責任において行ってください。