今回紹介する高齢者向けゲームアプリ「ELDA」は、難易度の異なるゲーム3種類と、言葉で意思の疎通ができない時のために使える「文字コミュ」が搭載されています。高齢者施設のスタッフの方の業務軽減やコミュニケーションツールとして、ぜひ知っていただきたいアプリです。
ゲームアプリ「ELDA」の概要
「インポート・イー・ブイ」が開発・運営する「ELDA」は、高齢者施設などでのご利用を想定したご高齢者向けゲームアプリ。アプリ名の「ELDA」は、elder(年長者)が由来だそうです。また、小さいお子様の知育などにもお役立ていただける内容でもあるそうです。
「ELDA」は、以下の4つの機能を提供されています。
1.スライドパズル
「スライドパズル」は、シンプルなパズルゲームです。ご高齢者の脳トレや小さいお子様の知育に最適。4x5ピースのパズルで、1ピースのサイズも大きいので、指で行う移動操作も簡単にできます。パズルの画像は、お手持ちの画像で利用可能。写真のサイズも自動調整され、縦長、横長、真四角など様々な種類の写真で、パズルゲームを作成できます。お好きな写真をパズルゲームにして、施設やご家族の皆さんで楽しめ、頭が鍛えられるそうです。
「スライドパズル」のプレイ方法
- トップ画面で「スライドパズル」をタップして下さい。
- 画面上部にある「カメラ撮影」を選択して新たに写真を撮影するか「写真選択」で保存されている写真の中で好きな写真を選択してください。
- 画面のパズル全体に写真が表示されます。
- 画面右上部の「シャッフル」をタップして、ピースをバラバラに配置させます。(何度でもシャッフルできます。)
- 空ピースの上下左右のピースを移動して、元の写真に戻せるように配置してみてください。
2.逆文字ゲーム
「逆文字ゲーム」は脳トレゲームです。ひらがな・カタカナの文字を3パターンの表示切替えでプレイします。「上下反転」、「左右反転」、「180度回転」の表示切替えが可能です。
実際に、同様のゲームを手作りしようと思うと、かなりの手間がかかってしまいます。このアプリを利用すれば、文字の登録だけで「逆文字ゲーム」が楽しめます。
逆文字ゲームのプレイ方法
- 登録した文字から出題したい文字をいくつか選択してください。
- <前、もしくは次>のボタン操作で順番に表示可能です。
- 上の画像のように、文字を表示すると「上下反転」「左右反転」「180度回転」の3パターンの表示切替えか、「正解」表示が選択できます。ゲームをする高齢者の文字の認識度に合わせて、操作してください。
サンプルで、いくつかひらがな・カタカナが登録されていますので、機能の操作確認ができます。登録済みの言葉以外にも、言葉の追加や修正、削除が可能です。
3.文字コミュ
この「文字コミュ」は、一時的に会話でコミュニケーションが取れなくなってしまった高齢者の方と施設の方々が、文字でコミュニケーションを取れるようにした機能です。
- 常時画面に、あいうえお順のキーボードを表示。タップした文字が画面に表示されます。
- よく使う単語は、一覧になっています。単語をタップすると、画面表示されますので、相手に対して簡単な意思表示ができます。
こちらの機能も、サンプルでいくつか文言が登録されていますので、操作確認できます。登録されている文言以外にも文言の追加や修正・削除が可能です。
4.タップゲーム
「タップゲーム」は、画面を移動してくる物体を指でタップすると、設定の点数が加算されます。全部タップできれば、100点満点になります。
- 移動してくる物体:上=気球が10個、下=ロケットが1個、左=ヘリコプターが6個、右=飛行機が3個
- 設定点数:気球=各1点、ロケット=30点、ヘリコプター=各5点、飛行機=各10点
物体の設定点数は、移動速度に合わせて配分されています。そのため、点数の高い物体は移動速度が速いのでタップする難易度が高くなります。
「タップゲーム」のプレイ方法
- トップ画面で「タップゲーム」をタップしてください。
- 「速度設定:標準」のボタンで物体の移動速度の選択が可能です。(「やや遅く」「かなり遅く」に切り替え可能)ユーザーのレベルに合わせて選択してください。
- 「スタート」でゲーム開始します。
- 画面に移動する物体が表示されます。指でタップしていってください。
- 全部の物体が移動したら、タップできた点数が表示されます。
- 画面のどこかをタップすると、ゲーム再開ができます。
アプリ開発のきっかけ
今回の取材では、「インポート・イー・ブイ」のアプリ開発担当者の方の、ご家族の病気がきっかけとなり、このアプリの開発に至ったということをうかがいました。
このアプリ機能の中で、まず「文字コミュ」を制作されたそうです。
ご家族が脳梗塞になり、一時的に言葉が出なくなったことが起因で、意思の疎通が困難な状態となりました。そこでipadを利用して、文字でのコミュニケーションができないかと思案。脳梗塞を患うご高齢者が利用するということを加味し、できる限り簡単に操作できるものが適していると考えて、独自に「文字コミュ」を制作されました。
完成した機能を、実際にご家族に試してもらうと90歳を超える高齢の方が、ipadの画面を指でタップすること自体が難しかったそうです。
その後ご家族はリハビリの甲斐もあり、会話がある程度可能となったので、以降「文字コミュ」を試すことはありませんでした。しかしながら「文字コミュ」が、世の中で役に立つ可能性を感じ、この機能はそのまま残しておこうという結論になったのです。
後日、もうひとつのきっかけとなる出来事がありました。受託案件で、高齢者向けゲームに仕事上触れる機会があったのです。その際に、高齢者向けのゲームを調べてみると、さまざまな種類があることに驚かされました。しかしながら、何か道具を用意するものが多く、アプリで対応できる類のものが見当たらなかったのです。
結果として、その案件を実際に手掛けることはありませんでしたが、先述のご家族の件も重なり、ご自身で高齢者向けゲームのアプリ制作を開始されました。
さまざまな模索の結果、逆さ文字のようなゲームなら、むしろアプリの方が簡単だということにたどり着き「逆文字ゲーム」を制作。次に、以前iPhone用のアプリで制作していた「パズルゲーム」をiPad用に作り替え「スライドパズル」を制作しました。「スライドパズル」はかなり難易度が高く、「逆文字ゲーム」はとても簡単です。その中間程度レベルのゲームの必要性も感じ「タップゲーム」を制作、現在のラインナップが完成しました。
以上の4つの機能の提供があれば、何かひとつでも役に立つのではないか、という思いでこの「ELDA」をリリースされたそうです。