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タグでものを識別してくれるアプリ!「ものタグ」を紹介

2021年5月12日

視覚障害者にとってものを識別することが難しい場面があります。例えば、服の識別などは触るだけでどれがどの服なのかを識別するのは難しいです。そんな課題を物につけるタグという形で解決するのが「ものタグ」です。

「ものタグ」とは??

「ものタグ」は、視覚障害者がものを識別するためのアプリです。
ものにNFCタグを装着し、NFC機能を持つスマホでそのタグにタッチすると、登録した内容を音声で伝えることによって、視覚障害者が触るだけでは識別できないものを認識できます。

登録は、テキストデータだけでなく、音声録音も可能で、スマホのキーボードを使うのが難しい方にも使って頂けます。登録した情報は、タグに書きこまれるのではなく、サーバにアップされ、スマホにキャッシュされます。タグには、一意に識別可能なIDが書き込まれるだけですから、情報は何度でも書き換え可能です。
また、登録した情報の開示範囲を設定できます。「私的」は登録した本人しかタグの情報を聞くことができませんが、「公開」設定にすると、他の視覚障害者への伝言や情報発信ツールとしても使えます。「譲渡可」設定にすると、他のユーザが内容を上書きすることができるので、伝言板としても使えます。お母さんが子供に「冷凍庫のタッパーにカレーを作っておいたので、レンジで温めて食べてね」といった伝言を残すことができます。

情報発信ツールとして使う時は、丁寧で詳細な情報になりがちですが、長い説明文章を音声で聞かせるのは情報発信の効果が半減してしまいます。ものタグでは、長い文章を複数のタグに分割登録して階層化できるので、トップのタグにタッチして、順次、詳細な情報を読み上げるようになっています。1冊の本の目次から各章や節に移動して、そのページを読み上げるイメージで使うことができます。それでも、一つのタグに登録されている文章が長い時は、その欄をダブルタップすると行単位読上げ画面になり、スワイプ操作で、一行づつ読み上げるようになっています。また、行単位読上げ画面の1行が、電話番号、URL、メールアドレスの時は、各々、電話アプリ、ブラウザ、メールアプリを起動するようになっています。チラシの「連絡先」に対応する情報を登録しておけば、すぐに連絡できるようになっています。

スマホの音声読上げ機能(アクセシビリティ機能やユーザ補助機能と呼ばれる)は、言語解析をして、構文を理解し、正しい発音をするように研究が進んでいますが、まだまだ、専門用語や人名、地名を正しく読上げてくれません。各スマホは辞書があり、どのように発音するか単語を登録できますが、情報発信側では、その辞書を制御できないので、ものタグでは、読み仮名をつける機能があります。学校で視覚障害者向けの教材を作成する時に、使われています。

タグは4種類ある

タグの種類:現在、販売しているタグは4種類あります。

(もっと詳しいタグの種類については、http://connectdot.jp/mono-Tag/aboutTag.htmlをご覧ください。
タグの購入については、ものタグアプリの「その他のメニュー」「タグの種類と購入方法」かhttp://connectdot.jp/mono-Tag/howtobuy.htmlをご覧ください。)

1.衣服用タグ

洗濯、アイロン可能なタグで、視覚障害者でも簡単に衣服に装着できるよう、強力な布専用の両面テープが付いています。円形で、直径18ミリと15ミリのものがあります。
現在、試験的に、直径15ミリで2穴のボタン型のものも販売しています。

2.シールタイプタグ

直径25ミリと18ミリのシールタイプのタグです。薄いので紙やCDに貼って使います。特に直径18ミリの方は、内蔵しているICチップも極小で触っても分からない程の厚みしかありません。キャッシュカードやクレジットカードに貼って使えます。

3.クリップ付きタグ

直径25ミリの円形プラスチックタグの裏面にクリップを貼り付けています。一時的にものに印を付けたい時や、冷凍庫など結露してパッケージの文字がOCRでは読めないようなものに装着して使います。

4.リング型タグ

キーリングが付いた涙形のタグです。
キーを管理したり、白杖に装着して使います。また、クリップ付きタグのように嵩張らないので、薄く積み上げるようなものに輪ゴムで装着して使ったりできます。

アプリ開発のきっかけ

ものタグアプリの前身は「FCS(ファッションコーディネートサポート)アプリ」だったそうです。視覚障害者がおしゃれをして自信をもって出かけることをサポートするためのアプリでした。衣服やコーディネートの情報を写真付きで登録し、そのスマホを持ってショッピングに出かける。店員さんに自分が持っている衣服をみてもらい、それと合うコーディネートを教えてもらう。そのお店で購入した衣服とコーディネートの情報をその場でスマホに登録してもらい、自分のコーディネートの幅を広げるというものでした。

登録した衣服と現物を一致させるため、洗濯可能なNFCタグを衣服に装着して、衣服を識別することとしました。視覚障害者はiPhoneのVoiceOverを使っている、と言われ、当初、FCSアプリはiPhoneに実装しましたが、iPhone6までは、NFC機能がありませんでした。iPhone7以降、NFC機能が使えるようになったタイミングで、衣服に限らず、いろんなものにNFCタグを装着してものを管理する「ものタグ」アプリとしてリリースしました。このような経緯(衣料品店で店員さんと話をするためのツール)もあり、ものタグアプリでは、視覚障害者とのコミュニケーションツールとして使うことを意識して設計がされました。情報の公開範囲を設定出来たり、遠隔でタグの内容を書き換えたりできるように設定されています。

これから追加されるサービス

今後は、ものタグを情報発信ツールとして提供していこうと考えているそうです。
外出すると、いろんな情報が溢れているのですが、その多くは、画像やイラストで表現され、しかも一瞥して分かりやすいように配置されています。
これらの情報は、視覚障害者には届きにくいのが実情です。

.例えば、ものタグのユーザーの方からの意見ですが、バス停の時刻表です。時刻表はバスの出発時刻が列挙されているパネルですが、よく見ると、バス停名、行先、停車場又は路線図等、結構たくさんの情報が掲載されています。バス停にものタグが貼ってあり、スマホをタッチするとそれらの情報が階層的に整理されており、順次読上げてくれるような状況になると便利です。
インターネットの普及によって、情報発信はホームページで行われるようになってきましたが、その場で知りたい情報は紙面やパネルの制限もあり、「一瞥して分かりやすく」という表現になっています。視覚障害者は「一瞥」できないので、周りの人に聞くことになりますが、情報の一部しか知らされません。視覚障害者自身が知る術が必要です。

.他の例としては、レストランのメニューがあります。料理をおいしくイメージしてもらうため、写真が多用されており、コロナ禍では、店員さんの説明も不足しがちです。また、タブレットで注文するところも出てきました。タブレットなら音声で読上げることもできますが、他のお客さんの迷惑にもなるので、音声は切ってあります。
ものタグなら、メニューにタグが貼ってあり、自身のスマホをタッチすればメニューを音声で読上げてくれる、という使い方ができます。

.タッチすると目薬の情報を読上げてくれるタグを試作し、試用まで実施したこともあるそうです。
http://www.connectdot.jp/ToT/pdf/20200210ForSpreadOfEyeDropsCovers.pdf
薬局で薬の情報を登録してもらい、服薬時に服薬記録として薬局や医療機関と共有することによって、服薬管理ができるようなシステムも開発される予定です。
その他の例は、
http://www.connectdot.jp/ToT/
をご覧ください。

まとめ

視覚障害者がものを識別するためのアプリ「ものタグ」を紹介しました。ものを識別するためのタグとしてだけでなく、情報発信のツールとしても活用が進んでいます。視覚障害者にもきちんと情報が届く社会をデザインするために、大きく貢献してくれる商品であることは間違いありません。

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