日本は地震大国と言われ地震が多い国で、地震情報はスマホやテレビでも通知されます。しかし、揺れたのに地震情報がない場合もあります。本記事では、揺れたのに地震情報がない理由、地震情報受信時の対処法、揺れが収まってからの対処法を状況別に詳しく説明します。
地震情報が発信されない理由は?
スマホの緊急地震速報の音にびっくりした経験がある方も多いでしょう。一方、揺れを感じたのに地震情報をスマホやテレビで確認したのに地震情報がないという経験をされたこともあるのではないでしょうか。
揺れたのに地震情報がないということは、誤報というわけではなく、理由があります。以下では、揺れたのに地震情報がない理由を説明します。
発表条件に当てはまらない
地震情報は気象庁が発表し、それをテレビやスマホ、ネットなどが報道します。では、気象庁が発表する地震情報はどのようになっているのでしょうか。
- 気象庁は、震度1以上の地震の場合に地震情報を発表します。
- テレビの地震速報は震度3以上の場合に報道されます。
揺れたのに地震情報がないというのは、上記の条件に当てはまらない場合が該当します。
震度と揺れの強さは常に一定というわけではなく、震源の位置や深さなどによって、実際に感じる揺れの強さは変わってきます。そのため、震度以上の強さと感じる揺れの場合は、揺れたのに地震情報がないということになるのです。
震度計で計測できていない
気象庁は、日本全国約4000カ所以上に震度計を設置して自信を観測しています。しかし、この数の震度計ですべての地震を漏れなく計測できるわけではないのです。また、震度計がメンテナンス中で測定できないタイミングもあります。
したがって、震度計で計測できない地震の場合は、揺れたのに地震情報がないということになるのです。
震源が近い
テレビの地震情報は地震の発生から90秒遅れます。また、緊急地震速報は最大震度が5弱以上の地震発生を予測した場合に、震度が4以上となる地域に対して発令され、基本的には発生の数十秒前に発令されます。
このため、震源に近い地域では地震情報が後追いとなってしまい、揺れたのに地震情報がないという場合があるのです。
地震以外で発生した揺れ
揺れを感じるのは、地震の場合が多いのですが、稀に地震以外でも揺れを感じることがあります。
よくあるのは、道路に近い家で道路をトラックが通過する場合、電車の線路が近い場合に電車が通過する場合があります。そのほか、工事や爆発事故などでも揺れを感じます。
この場合は、揺れたのに地震情報がないということになります。
地震情報が発信されたら?
地震情報が発信されてから、実際に揺れるまでの時間は短く、被害に会わないための行動をするには、普段から、どのように行動すればよいかをきちんと理解して整理しておくことが重要です。
また、地震はいつ発生するかわからず、どのような状況で地震に会うかで、被害に会わないための行動も異なってきます。以下では、シーン別にどのように行動すればよいかを説明します。
家での行動まとめ
自宅で発信された地震情報をキャッチしたら、まず、以下の3点を行動に移すことが、自分の身を守るためには重要です。
- 机やテーブルの下に潜り込む
- 屋外に出るための通路を確保する
- ガスや電気など火を消す
以下にポイントを説明します。
机やテーブルの下に潜り込む
揺れを感じる前に机やテーブルの下に潜り込んで、落下物にあたらないようにします。自宅では、家具や電気設備、ひどい場合は天井が落下して体に当たることを避けるのが重要です。
屋外に出るための通路を確保する
地震の揺れで、玄関や部屋の扉、窓などが歪んで開かなくなる可能性があります。普段から避難する導線を確認しておき、導線にあり扉などを開けてから、揺れに備えましょう。
ガスや電気など火を消す
揺れが収まって移動できる場合は、電気やガスなど火をつけっぱなしにしていないかを確認しましょう。また、避難するために自宅を出るときは、ガスの元栓や電気のブレーカーなどを切っておき、火災による二次被害が発生しないようにすることが重要です。
職場での行動まとめ
職場がビルなどの建物に入っている場合は、建物自体はしっかりしているので、倒壊などの心配は少ないのですが、以下の3点を行動に移すことが、自分の身を守るためには重要です。
- 窓際から離れる
- OA機器などが落ちてくることに注意する
- 避難は非常階段を使い、エレベーターを使用しない。
集客施設での行動まとめ
ショッピングセンターやスーパーなどで揺れたのに気が付いたら、建物自体はしっかりしているので、倒壊などの心配は少ないのですが、以下の3点を行動に移すことが、自分の身を守るためには重要です。
- 商品が当たってけがをしないように、商品の少ない場所や柱のそばなどに移動する
- 割れる恐れのあるガラス製品・陶磁器などの割れ物の陳列場所から離れる
- 避難に際しては、階段を利用し、エレベーター・エスカレーターを使用しない
市街地「屋外」での行動まとめ
仕事やプライベートで街中に出ている時に揺れたのに気が付いたら、付近の建物の破損や倒壊などによる被害が心配です。このため、以下の3点を行動に移すことが、自分の身を守るためには重要です。
- 倒壊の恐れのある建物の近くから離れる
- 建物のガラスや壁の剥がれなどの落下物に当たらない場所に避難する
- 移動や避難時は、バッグや衣服などで頭部を保護する
海近くでの行動まとめ
仕事やプライベートで海の近くにいる時に揺れたのに気が付いたら、地震によって引き起こされる可能性のある津波に備えることが重要です。このため、以下の3点を行動に移すことが、自分の身を守るためには重要です。
- 高台や頑丈な建物の3階以上フロアを見つけて移動する
- 車の場合は、渋滞していればいったんは乗り捨てて徒歩で非難する
- 周辺の避難誘導のための標識を探して、見つかればその指示に従って行動する
山近くでの行動まとめ
仕事やプライベートで山岳地帯に出ている時に地震情報をキャッチした場合は、地震によって引き起こされる可能性のある土砂崩れや落石による被害が心配です。揺れたのに何ともないと安心しないで状況を確認しましょう。また、以下の3点を行動に移すことが、自分の身を守るためには重要です。
- 崖や急斜面がそびえたつ場所からできるだけ離れる
- 崖や急斜面など足場が崩れそうな場所からできるだけ離れる
- 落石の恐れがないかを確認して、危険な場所であればできるだけ離れる
車での行動まとめ
車で移動している時には揺れたのに気が付かない場合も多いのですが、地震情報をキャッチした場合は、交通事故や交通渋滞による被害が心配です。このため、以下の3点を行動に移すことが、自分の身を守るためには重要です。
- 急ブレーキ・急停車を避けて道路左側に寄せて停車し、揺れの収まるのを待つ
- 地震情報や交通情報を聞くなど状況を確認する
- 車を乗り捨てる場合は、ドアロックはせず、連絡先をフロントなどに置いておく。
鉄道・新幹線での行動まとめ
新幹線など電車に乗車中に地震が発生した場合は、電車自体が脱線などをしないように緊急停止し、車内アナウンスで行動指示があるはずです。このため、以下の3点を行動に移すことが、自分の身を守るためには重要です。
- 立っている場合は、手すりや吊革につかまって転倒を防止する
- 座っている場合は、座席の間に体を隠す
- アナウンスに従って避難行動を行い、勝手な個人プレーをしない
地下鉄での行動まとめ
地下鉄に乗車中に地震が発生した場合は、電車自体が脱線などをしないように緊急停止し、車内アナウンスで行動指示があるはずです。このため、以下の3点を行動に移すことが、自分の身を守るためには重要です。
- 立っている場合は、手すりや吊革につかまって転倒を防止する
- 座っている場合は、低い姿勢を取って頭を守る
- アナウンスに従って避難行動を行い、パニックにならず、勝手な個人プレーをしない
地震がおさまった後の行動は?状況ごとに説明
地震にあった場合は、揺れている最中は、テーブルの下などに隠れて体を保護するのが最優先です。そして、揺れが収まったら、安全な場所に避難するとともに、地震の被害を拡大させないための行動も必要となります。
以下では、揺れが収まった後に行うべき事項を、状況に合わせて説明します。
おさまった後の行動➀身の安全を確保
揺れが収まっても、まず考えるべきは、自分の身の安全を確保することです。このため、周囲の状況を確認するとともに、ガラス破片や家具の破損物などから足を守るために、靴やスリッパを探して履きましょう。
屋外に避難することが可能なように、窓や扉を開けましょう。なお、移動に際しては、転んだり転倒したりしないように、周囲を確認しながら慎重に移動します。
おさまった後の行動②情報を収集・避難の判断
まず、自宅の被害状況を把握しましょう。揺れで自宅が倒壊の恐れなどがある場合は、避難場所へ移動することになります。
次に、テレビやラジオ・SNSなどが使用可能であれば、それらを使って、情報収集をしましょう。テレビでは揺れたのに地震情報がないといった場合は、TwitterなどSNSで確認して見るのもよいでしょう。
自分のいる地域の被害状況などを、デマなどに惑わされずに、正確に把握することが必要です。なお、スマホや電話での通話は避ける方が無難です。
避難時➀ブレーカを落とす・ガスを止める
自宅から避難所に移動するに際しては、火災などの2次被害を防ぐために、火元の消し忘れがないかを確認しておくことが重要です。揺れたのに建物への被害は少なそうと安心してはいけません。地震被害では、揺れによる被害より火災による被害が大きいというケースが多いのです。
そして、自宅外に出る前に、必ず、電気のブレーカーを落とし、ガスの元栓を締めてガスを止めることを忘れないことが重要です。これを忘れると、火災発生のリスクが非常に大きくなります。
避難時②徒歩での避難を行う
避難に際しては、マイカー移動は控えて徒歩で非難しましょう。大きな地震の場合は道路自体が通行不可となっている可能性もあります。仮に通行できても渋滞を引き起こし、救急車や消防車・警察車両など公共の緊急時に必要な車両の通行の妨げともなりかねないからです。
避難に際しては、あらかじめ用意しておいた避難用グッズ程度を持ち物として、指定の広域避難場所などに移動してください。広域避難場所は小中学校や公民館などが指定されており、自治会などの訓練で訪問しておくとあわてずにすみます。
帰宅困難時➀帰宅するか判断する
仕事など自宅外で地震に遭遇し、帰宅困難な状況に遭遇した場合は、無理に帰宅を急ぐのではなく、状況を冷静に把握して帰宅のタイミングを判断しましょう。道路や駅は利用可能か、パニックなるほどの混雑は発生していないかなどを確認して判断しましょう。
会社であれば、宿泊の用意をしてくれる場合もあります。街中や駅などの場合は、最寄りの避難所を探してそこまで移動するのもよいでしょう。
また、こうした場合はスマホや電話はつながりにくくなってます。すぐに帰宅できず家族と離れ離れの場合は、各キャリアが用意する災害伝言ダイヤルなどを利用して連絡を取り合うのがよいでしょう。
帰宅困難時➀帰宅ルートを考える
大きな地震の場合は、交通機関が復旧するのにもかなりの時間が必要となり、実質的には数日間利用できないことも想定されます。そのため、帰宅困難時の帰宅は徒歩によることを基本とします。地震情報がないと行動も制限されますので情報の入手に努めましょう。
徒歩による帰宅については、普段から、会社や学校などから自宅までの徒歩での帰宅ルートを確認しておくとよいでしょう。
なお、学校・公共施設・コンビニ・ガソリンスタンドなどが帰宅困難者支援施設となり、情報提供などを行うこととされています。帰宅ルート内のこうした施設もチェックしておくとよいでしょう。
火災遭遇時➀火元から避難
会社や学校などでは火災に遭遇する可能性もあります。普段からこうした施設については避難経路を確認しておきましょう。
そして、火災報知設備の警報を聞いた場合はパニックにならず、冷静に状況を確認し迅速に避難を始めましょう。ビルの場合は、避難経路として階下に向かう場合と屋上に向かう場合の2ケースについてチェックしておくと、火事の状況に応じて避難の安全性を高めることができます。
負傷者発生時➀協力して救出活動する
大きな地震の場合は、ケガなど負傷することも避けられないことがあります。もし、周囲に負傷者がいる場合は、健常者が協力して負傷者を安全な場所まで避難させましょう。
ただし、無理は絶対禁物で、二次被害に出会わないように注意しましょう。地震情報がない中での救出活動は危険が伴いますので慎重に行いましょう。
二次被害の恐れがある場合は、救出活動自体は消防や警察など専門の組織に任せ、正確な情報提供ができるように、状況の整理・情報の収集に留めるのが鉄則です。
まとめ
揺れたのに地震情報がない、こんな経験をした方も多いでしょう。本記事では、揺れたのに地震情報がない理由を説明し、地震への対処法を状況別に説明しました。参考にして、地震に冷静に対処してください。