現在AR技術を活用した地域活性化の事案が大変注目されています。その代表格のひとつが長崎県松浦市のスマホアプリ「AR蒙古襲来」で、鎌倉時代の元寇船の疑似体験などが可能となります。今回はアプリ開発担当「株式会社ジーン」様より、詳しい内容をご回答いただきました。
「AR蒙古襲来」の概要
「AR蒙古襲来」は、長崎県松浦市の市制施行10周年を記念してリリースされたスマートフォン用アプリです。日本語の他、英語/ 中文繁体字/ 中文簡体字/ 韓国語に対応しています。
時は13世紀、日本の鎌倉時代。当時世界最大と言われたモンゴル帝国が、日本に襲来した「元寇」時の様相を、ARの技術で疑似体験できます。また元寇船が発見された「海底遺跡」の鷹島神崎遺跡を探索できるVR映像や松浦市の貴重な文化財の紹介も実装。当時に思いを馳せながら市内の歴史巡りを堪能できます。
「AR蒙古襲来」でできること
元寇船乗船体験
AR映像により目の前に元寇船が出現、船に向かって進むと甲板上に乗船できます。甲板を歩き回ったり、元の大船団が大海原を突き進む光景が楽しめます。こちらはGPSの有効な屋外使用が可能で、現地(松浦市)に行かなくても楽しめる体験モードです。
元の大船団AR
松浦市内海岸エリアでは、アプリを通してスマートフォンをかざすと伊万里湾の海上に多数の「元の船団」が出現。さらに現実の船(鷹島と本土を結ぶ定期航路船)に乗船し海上を進むと、迫りくる元寇船団の真っただ中を突き進む、という迫力満点のAR体験ができます。
鷹島2号沈没船潜水探索
2011年10月、鷹島海底遺跡にて元寇時に沈没した元の軍船が発見されました。船内に多数散乱していた遺物が中国・南宋時代のものだったことから、2度目の元寇(1281年弘安の役)時の沈没船と断定。
このアプリではその海底遺跡「鷹島2号沈没船」を、360°撮影のVR映像で探索できます。(簡易VRゴーグル使用可能です。)
海底遺跡発掘写真
鷹島神崎遺跡は海底遺跡としては、日本で初めて国の史跡として指定されました。
この「海底遺跡発掘写真」モードでは、海底遺物の写真や鷹島神崎遺跡の海底地形図を閲覧できます。また鷹島海底遺跡は3Dモデルで詳細に復元され、手元で自由に回してみたり拡大してみることも可能です。
その他の魅力
松浦市内の遺跡や文化財の紹介、元寇検定など幅広く楽しめる機能が実装されています。また「AR蒙古襲来」のアプリ以外にも、松浦市で開催するイベントや松浦市立埋蔵文化財センターなどで、ヘッドマウントディスプレイを利用して元寇VRコンテンツ(元寇船乗船体験、「てつはう」的当てゲーム、鷹島海底遺跡探索)を楽しめます。
「AR蒙古襲来」開発までの経緯
松浦市は鷹島の海底で元寇船が発見されて以降、日本の水中考古学の拠点となるべく、また地上や海底に数多く存在する「元寇関連遺跡・文化財」による地域活性化を目指して活動されています。その一環として「元寇遺跡」の認知度をより向上させるため、スマートフォン向けアプリが企画・開発されたのです。
今回この取材に回答していただいた「株式会社ジーン」様はプロポーザルを経て、アプリの制作を受託されました。
ユーザーレビュー
スマホアプリ
・ARの元寇船の再現ぶりが凄い。
・自分がフェリーに乗ってARの元寇船団の中を突っ切る体験では、現実の音(フェリーの音、風の音、波の音)とも相まって迫力・臨場感がたまらない。
・海底遺跡の詳細を知ることができるのもマニアックでいい。
ヘッドマウントディスプレイ/ VRコンテンツ
・スマホアプリを超える臨場感が素晴らしく、海底遺跡探索では本当に海に潜っているようだ。
・「てつはう」的当てゲームは素直に楽しめる。
ヘッドマウントディスプレイを外すと、一様に「楽しかった」と皆さん笑顔になるそうです。
まとめ
今回は、長崎県松浦市の「AR蒙古襲来」をご紹介しました。鎌倉時代の「元寇」という歴史をAR技術により疑似体験ができるスマホアプリです。またその他のコンテンツでも貴重な文化財や海底遺産を深く知る大変よい機会になります。歴史好きの方はもちろん、旅行好きの方の予習としてもお楽しみください。