「想いやりトーク」の開発のきっかけは、「オトデザイナーズ」代表、坂本真一(工学博士、技術経営修士)が、元々は聴覚心理学、そのなかでも特に補聴技術、難聴、高齢者の耳の聞こえ、コミュニケーション能力などを専門とする研究者であり、「聞え」に関するシステム開発の技術者だからです。補聴器の開発や設計、模擬難聴技術の研究などを長年に渡り行ってきました。
「オトデザイナーズ」では、高齢者の聞こえやコミュニケーション能力に関する模擬難聴技術と知見を用いた、高齢の顧客への話し方に関する研修、トレーニングツールの開発など、様々な企業や自治体に向けての事業として行っておりました。
一昨年に「オトデザイナーズ」代表の坂本真一の母が85歳で亡くなりました。耳が少しだけ遠かった母は、生前その病気の治療や検査のために行ったあらゆる医療機関で、マスク越しで早口で話をする医師や看護師の話がうまく聞き取れずに大変な苦労をされました。会話が聞き取れないことで会話自体がスムースに進まず、医師から「認知症」と一方的に診断されかかった経験もあり、生前の母は、とても辛くて悲しい思いをたくさんしてきたようです。「医師や看護師たちが、もう少し伝わるように話をしてくれていたら、こんな辛い思いをさせることなく見送れたのに」と強く思いました。
母が亡くなられて3ヶ月ほど経過したところで、新型コロナウィルスの猛威が日本にも襲いかかり、医療機関だけではなく、日本の国民のほぼ全てが常にマスクを着用する状況になりました。新型コロナウイルスの感染数や病床の使用率、コロナウイルスのワクチンなどに世の中の注目が集まるのは当然のことです。しかし、その裏では、みんながマスクを着用することによって「コミュニケーションの劣化」や、それに伴うトラブルが様々な場面で起こるであろうということは、高齢者の聞こえや難聴、コミュニケーション能力を専門としている我々には十分に予見することが可能でした。
よって、昨年の3月からアプリ「想いやりトーク」の開発に着手し始め、同年8月に1stバージョンをリリースすることができました。新型コロナウィルスの猛威に国民が苦しむ状況を鑑み、これまでの弊社の事業として販売をしてきた模擬難聴やトレーニングツールの技術を組み込んで、社会貢献のために「無料アプリ」として配信をすることにしました。新型コロナウイルスによる脅威が収まる様子が見られない状況だったため、さらなる社会貢献活動として同年の12月にはYouTubeにて「想いやりトークチャンネル」を開設、研修事業の内容なども一部無料配信することとしました。マスク着用によって起こる、コミュニケーションの劣化を少しでも改善することで、老いも若きも、誰もが笑顔でおだやかに会話することが出来る社会を実現するため、これからもアプリの機能アップやYouTube「想いやりトークチャンネル」の配信を継続していきます。
まとめ
将来的には、様々な機能を追加したいと考えております。例えば、周囲に騒音がある場所でも模擬難聴音声を聞くことが可能となる「シーン別のシニアの聞こえ方」や、練習の過程、上達度を記録できる機能、アプリのユーザー同士が、マスク越しの会話、高齢者との会話の際の体験談などの情報交換ができる機能などの追加を考えています。
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