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今の地球が見られる「ひまわりリアルタイム」を紹介!

2021年12月5日

台風接近前や天気の急変で、雲の動きが知りたいと思うことがあります。「ひまわりリアルタイム」は、高解像度な「ひまわり8号」の衛星画像で、今の地球が気軽に閲覧可能です。GPS機能で現在地の様子も確認でき、海外のユーザーも多数。今後様々な活用も期待されるアプリです。

「ひまわりリアルタイム」の概要

「ひまわりリアルタイム」は、静止気象衛星「ひまわり」のデータにより、PCやスマートフォンでどなたでもどこからでも「今、この瞬間の地球の様子」が閲覧可能なアプリケーションです。

日本域観測データを10分以内(フルディスク観測データに関しては30分以内)に、全衛星観測データを対象としてインターネットで一般公開。国内外には、数多くの気象衛星データを閲覧できるwebサイトや画像表示アプリケーションが存在しますが、観測直後に画像をフル解像度で公開しているのは「ひまわりリアルタイム」のみとなります。

「ひまわりリアルタイム」でできること

アプリでは「ひまわり」の全データをリアルタイムで閲覧できる他、様々な機能や発展があります。主な例を以下ご紹介します。

●アジア域を中心に、世界12か国語対応

日本語/英語/韓国語(ハングル語)/中国語(繁体字・簡体字)/フランス語/インドネシア語/ミャンマー語/タイ語/ロシア語/テトゥン語(東ティモール)/マレー語

●データ公開を2015年7月7日に開始。過去のデータすべて閲覧可能

●最大20段階での画像拡大表示が可能:全画像データをピラミッドタイル形式で保存することで実現

 最低ズーム率:地球全体を画面内に表示

 最大ズーム率:台風の目の詳細な構造を確認できる

●画面内に自由にコメント追加可能

●URLで保存・共有:画像ではなくURLで好きな日時・場所の保存可能

●全16バンドのデータを同時に時系列表示

安定した運用のための連携システム

負荷分散システムの構築

NICTや各大学が計画停電時などでも、千葉大学/京都大学/九州大学/信州大学/筑波大学との連携で、システム停止の事態を防ぐためバッグエンドシステムが構築されています。

東南アジアからのアクセスへの対応

 

「ひまわりリアルタイム」は年間300万程度のアクセスがあり、その約半分は海外からです。特に大型台風接近時などに顕著となります。

 

そこでJGN国際回線(情報通信研究機構の高速国際バックボーンネットワーク)を活用し、タイ、フィリピン、台湾の3ヶ国でミラーサイトを立ち上げました。これにより日本のサーバではなく、各国のサーバにアクセス可能となり、アクセスの集中が起因となるサーバの通信障害を防ぐことができます。

「ひまわりリアルタイム」開発のきっかけ

今回の取材では開発者である情報通信研究機構の村田氏の「ひまわりリアルタイム」開発に至ったきっかけをうかがいました。

村田氏の研究専門分野は、情報通信技術とビッグデータサイエンスです。しかし初めて見た「ひまわり8号(および9号)」の気象衛星画像の美しさに大きく心を動かされ

「ぜひ、すべての国民に(いや全世界に向けて)ひまわり衛星画像をリアルタイムで届けたい」

とアプリ開発をスタート。既存のデータ通信技術、並列分散処理技術、可視化技術が活用され制作されました。制作過程では民間の気象予報会社や気象予報士、気象庁各部署などとも関わることができ、大変よい経験となったそうです。

アプリ提供元の「太陽放射コンソーシアム」は、衛星観測データを基に太陽放射データなどの活用を通し、社会貢献を目指した活動をしているNPO法人です。こちらに在籍している気象学の専門家より、アプリや搭載機能へのニーズなど様々な助言を受けることもできました。その結果、一般にも気象分野でも受け入れられるアプリケーション開発へとつながったのです。

今後の展開予定・追加サービスなど

「ひまわりリアルタイム伝育プログラム」の活動

「ひまわりリアルタイム」では、次にアプリケーションを活用した「新たな価値の創造」を目指しています。新たなアプリケーションを開発し、各地の学校や科学館での展示を開始。現在その活動は拡大しつつあるそうです。その主なアプリケーションをご紹介します。

ひまわりゲーム

  • 台風進路学習のため、台風の目(中心)を読み取るゲームを用意
  • 火山噴火や日食など、ひまわり衛星データによる様々な自然現象を体験

気象をより詳しく学びたい方向けのアプリケーション

「ひまわりリアルタイム」を利用し、ウェザーニューズ社森田清輝氏の最新気象データから、その読み方が学べます。

気象データの精度向上で、防災対策への活用にも期待

データ可視化技術開発は、千葉大学環境リモートセンシング研究センターに設置した大型のTDW(タイル度ディスプレイ)で進められており、ひまわりリアルタイム高解像度画像や全16バンド表示対応に貢献しています。このように現在の気象データは時空間分解能の向上により、気象予報のみならず防災対策への応用も期待されています。

WebGISアプリケーション「ローカルひまわり」の開発

NPO太陽放射コンソーシアムによる公開データ

 ・日射量データや気温

 ・湿度データ

 ・風向

 ・風速データ

●気象庁による公開データ

 ・高解像度降水ナウキャストデータ

 ・アメダスデータなど

上記のようなデータを融合させたWeb GISアプリケーションとして「ローカルひまわり」を開発中です。ここには

 ・気象警報情報

 ・アマチュアによる河川域分布データ

 ・リアルタイム河川監視画像など

このような様々なデータが重畳して表示され、より生活に根差した情報の発信に期待されています。

まとめ

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