スマホやPCのストリーミングサービスを利用し、ヘッドホン・イヤホンで音楽を楽しむにはヘッドホンアンプが効果的。一方、ヘッドホンなどにマッチしないと意味ないということにもなりかねません。本記事では、ヘッドホンアンプの効果・選び方・留意点などを説明します。
目次
ヘッドホンアンプは意味ないという噂は嘘
最近は、Apple Music ・Spotifyなどストリーミングサービスで定額で音楽聞き放題となるので、ヘッドホンをスマホに接続して音楽を聴く方が増えています。
そして、話題となっているのが、この場合に、ヘッドホンアンプは意味ないという噂です。ヘッドホンアンプが意味ないという意見もありますが、ヘッドホン・イヤホンの能力を最大限に引き出してくれる機器であり、意味ないというのは言い過ぎあるいは嘘とも言えます。
もちろん、音に対する感じ方なので、使っているヘッドホン・イヤホンによっては、ヘッドホンアンプの効果を感じにくい場合もあり得ますが、それだけで、全ての場合に意味ないと言い切るわけにはいきません。
ヘッドホンアンプってどんなもの?
では、ヘッドホンアンプとはどんな機器なのでしょうか。文字通り、ヘッドホン向けのアンプなのですが、さまざまな効果や機能を備えています。以下で詳しく説召します。
PCやスマホなどの再生機器に繋ぐことで音質の向上を見込める
PC・スマホにもアンプ機能は搭載されていますが、音楽専用というわけではなく、それなりのヘッドホンやイヤホンの性能に見合う音を供給するには性能不足と言わざるを得ないものが多いようです。
そこで活躍するのがヘッドホンアンプ。ヘッドホンアンプはコンパクトながらヘッドホン・イヤホンの性能に見合う音を届けてくれ、意味ないというのは間違いともいえます。
ヘッドホンアンプで得られる3つの効果
以下では、ヘッドホンアンプを使うことの効果を3つ説明します。
音量不足の解消
アンプは、音声信号の増幅・音量の調節・音質の向上などを目的とした機器です。スマホやPCでは、室内向けなどの高音質対応のヘッドホンには十分な出力を供給できない場合があります。スマホ・PCからの入力をヘッドホンアンプを通すことで音を増幅して、ヘッドホン・イヤホンの性能に見合った音量を届けることができるのです。
逆に言うと、インピーダンス値が低いヘッドホンの場合は、ヘッドホンアンプの効果を十分に確認できないこともあり得、これが意味ないことの根拠にもなっているようです。
より鮮明な音への変換
ヘッドホンアンプは、ヘッドホンに合わせて設計されており、ヘッドホンの微弱電圧・電流に適した部品などによりチューニングされており、音を鮮明に迫力あるものに仕立てるのです。
このため、グループ各人の歌声や楽器のセクションを聞き分けられるなど、直接スマホから音を取った場合と比べると、聞こえていない音も聞こえるほどの音質向上が感じられる可能性もあります。これもヘッドホンの性能に左右され、鮮明さを感じされなかった場合に意味ないと感じるのでしょう。
ノイズの減少
ヘッドホンアンプにはノイズ低減を図る機構を搭載しているものが多く、高音になると目立つカリカリした音などのノイズが消えてよりクリアな音を聞ける可能性が高まります。
DAC内蔵のヘッドホンアンプであれば、デジタル音源からアナログへの変換をアンプでこなすのでより音が鮮明になります。DACを搭載していないばあいはノイズ減少効果を感じされない場合もあり、意味ないと感じるのでしょう。
ヘッドホンアンプを選ぶ際のポイント
ヘッドフホンアンプの効果を説明し、意味ないというのは間違いと説明しましたが、どんなヘッドホンアンプでも使い勝手が良いというわけではありません。
さまざまな機能を備えたものがあるので、自分の使い方に合わせてヘッドホンアンプを選ぶことが必要です。さもないと、意味ないという意見に賛同してしまうかもしれません。
ポイント①使い方
ヘッドホンアンプは、使い方によって、据え置き型とポータブル型に分類されます。ヘッドホンはPCに接続して聞く場合が多い方は、据え置き型でも利用に差し障りはないでしょうし、機器選択肢の幅も広がるでしょう。
一方、ヘッドホン・イヤホンをスマホに接続して視聴する場合が多い方は持ち運びに便利なポータブル型が適しています。ただし、持ち運びに適したものを選ばないと意味ないということになりかねません。
据え置き型
据え置き型は、机の上などに置いて利用するタイプのヘッドホンアンプです。室内設置なので、電源はAC電源・USB電源から給電するものが多いのです。
また、筐体サイズ・重量の制限が緩いことから、多様な入出力端子を備えたり、独自回路を搭載して音質を高めたりしているモノもあります。
室内でスマホやPCのストリーミングサービスを高音質で楽しみたい方などにおすすめです。
ポータブル型
ポータブル型は正式にはポータブルヘッドホンアンプで名前が長いのでポタアンと略記されることもあります。スマホと一緒に持ち運び、主に、屋外で利用することから電源はバッテリーからとるタイプが主流です。価格的にも数千円といった入手しやすいものもありラインナップも豊富です。
スマホやDAPの音をヘッドホンで聞いていて音質に不満という方は、ポタアンを試してみるとよいでしょう。ただし、廉価な機器を使用している場合は、効果を感じにくく意味ないと感じることがあるかもしれません。
ポイント②端子(入力)
ヘッドホンアンプへの入力には、アナログとデジタルの2種類が考えられます。
デジタル端子
CDプレーヤーやテレビなどからデジタルデータやデジタル信号として音声を受け取るにはデジタル端子を使用します。デジタル信号は伝送による音の劣化がないのが特徴です。出力はアナログとなるのでDAC搭載が必要です。
端子の種類としては、デジタルデータであればUSB、デジタル信号であれば、光デジタル端子(オプティカル)、同軸デジタル端子(コアキシャル)などがあります。
アナログ端子
プレーヤーやカセットデッキなどのオーディオ機器から入力するにはアナログ端子を使います。アナログ端子ではプレーヤーなどから電気信号として音楽を受け取るのです。
端子の形状は、3.5mmミニプラグ(フォーン端子)・RCA端子・XLR(キャノンコネクター)などがあります。
なお、入力ソースによってはヘッドホンアンプが意味ないと感じるケースもあり得ます。
ポイント③端子(出力)
ヘッドホンアンプの出力端子には、ヘッドホンやイヤホンのケーブルを差し込みます。したがって、手持ちのヘッドホンやイヤホンのケーブルの端子形状に会うものかを確認しておくことが必要です。
3.5ステレオミニ端子・6.5ステレオ標準端子を備えているものが多いのですが、バランス接続対応の場合は、4.4mm端子・2.5mm端子に対応した出力端子が必要です。
ポイント④対応スペック
ヘッドホンアンプのスペックは、アンプ部分とUSB-DAC部分を見る必要があります。
アンプ部分のスペックは、出力(mWなど)、周波数特性(kHzなど)、S/N(dB)、出力インピーダンス(オーム)などで見ます。
USB-DAC部分のスペックは、サンプリング周波数(kHz)、量子化ビット深度(bit)でチェックするとよいでしょう。
これらをチェックして意味ないと感じることがないように選択しましょう。
ポイント⑤給電方法
給電方法もチェックしておく必要があります。
特に、ポータブル型は外出時に使うものなのでバッテリー充電に注意が必要。バッテリ切れでは意味ないという結果になります。USBでのバッテリー充電に対応したモデルだと便利です。
据え置き型はAC電源が使えるものが一般的ですが、電源が取れないことが想定されるのであれば、USBによる給電化可能なものが便利です。
ポイント⑥コスト(コスパ)
ヘッドホンアンプも日本をはじめさまざまな国のオーディオ関連メーカーが作っています。コスパを重視するなら中華製も選択肢に上がります。最近は、中華製といえど、性能も悪くないものも多数あります。
ポータブル型のヘッドホンアンプを導入する際に注意すべきポイント
以下では、ポータブル型のヘッドホンアンプを選ぶ際に中止すべき点を説明します。
ポイント①サイズ・重さ
まずは、持ち運びに問題にならないか、サイズと重量をチェックしましょう。いくら音質がよくても、携帯に支障があるのでは意味ないとなって使えません。
ポイント②フル充電での稼働時間
外出時にバッテリー切れで音楽が聴けなくなることを防ぐために、連続稼働時間をチェックしておきましょう。自分の使い方に合わせて余裕をもって使える時間持ちそうなものを選ぶのが重要です。
ポイント③接続方法(Bluetooth)
ヘッドホンアンプとヘッドホン・イヤホンをつなぐケーブルをジャマと感じる場合には、Bluetoothに対応したものを選ぶとよいでしょう。ただし、Bluetoothは転送速度があまり早くないため遅延が問題になることがあります。そのためデータ圧縮を行うコーディックが必要で、機器によって対応コーディクの種類が異なります。
おすすめのヘッドホンアンプメーカー
ここでは、おすすめのヘッドホンアンプの製造メーカーを紹介します。
おすすめ①Chord Electronics
Chord Electronicsは、イギリスのオーディオメーカーとして、100万円以上もする機器を発売するなど、高級オーディオメーカーとして地位を気づいています。
ポータブルDACアンプの代表格であり、高音質とアット的な駆動力で人気の名機mojo・mojo2を発売しています。スマホと接続するだけで据え置き型のオーディオ機器と同等ともいえる音楽が楽しめます。
高価格のものとなりますが、音にこだわる方にはおすすめのメーカーです。
おすすめ②SONY
ウォークマンをはじめ国内のオーディオメーカの代表格的な存在。ヘッドホンアンプは、全機種ハイレゾ対応となっており、タイプもポータブル・据え置き両方をラインナップしています。
ハイレゾと言っても、PCM形式のみならず、DSD形式に対応した製品も発売しています。また、バランス出力型のポータブル型を扱っているのもうれしいところです。
おすすめ③KORG
KORGは、日本ではいち早くシンセサイザーの開発の取り組むほか、デジタルピアノ(電子ピアノ)・DJ機器やエフェクター、チューナーなどを手がけるヤハマの関連会社です。
高音質で音楽再生が可能なだけではなく、ハイレゾの録音が可能な入力端子を備えたモデルもあります。録音の機会の多い方にはおすすめです。
おすすめ④ONKYO
ONKYOは日本の老舗の音響メーカー。2022年に経営破綻しましたが、Premium Audio Companyのもとでブランドは継続しています。低価格帯の製品も多く初心者や中級者にもおすすめです。
おすすめ⑤TEAC
TEACは総合60年以上の歴史を有し、ホームユースからハイエンドまで、さまざまなオーディオ機器を有するメーカーです。ヘッドホンやヘッドホンアンプもさまざまなラインナップを取り揃えており、幅広いユーザー層に対応しています。
名機と言われるのは「P-750u」
ヘッドホンアンプで20年の歴史をもつのP-750uは名機として人気の機種です。現在は、P-750uをリファインした後継のP-750u MarkⅡを発売しています。また、同社は、フランスのオーディオメーカーFOCALのハイエンドヘッドホンも扱っています。
おすすめのヘッドホンアンプ5選|据え置き型編
おすすめの据え置き型のヘッドホンアンプを5機種紹介します。
おすすめ①3KORG DS-DAC-10R
DS-DAC-10Rは、フォノ端子を備えているので、レコードプレーヤーにも直接接続できで再生も楽な据え置き型ヘッドホンアンプです。入力はRCAとUSBに対応。出力は、 RCA φ6.3mmステレオです。
シンプルでこてこてしていないデザインも魅力です。
おすすめ②FiiO K5 PRO
K5 PROは、エントリー向けの据え置き型ヘッドホンアンプとしては定番の製品です。DACとして旭化成エレクトロニクスのAK4493EQを搭載しており、4ブロック構成のアナログ部により、価格帯以上の音質を確保しています。
おすすめ③FOSTEX HP-A3
HP-A3は、32bitDACを搭載し、アナログ部品にもオーディオ用のモノを採用しており、FOSTEXの特徴の素直な音を楽しめる製品です。インピーダンスの高いヘッドホンも接続でき、ヘッドホンアンプの入門機としてぴったりです。
おすすめ④LUXMAN DAC P-750u
DAC P-750uは、言わずと知れたヘッドホンアンプの名機。DACは搭載していませんが、アナログ入力での品質はピカイチです。現在は、P-750uをリファインした後継のP-750u MarkⅡが発売されています。
おすすめ⑤RME Babyface Pro
Babyface Proは、ミュージシャンが自宅で使用するオーディオインターフェースとも言えるほど入出力インターフェースが豊富なヘッドホンアンプです。マイクやギター、キーボードといった楽器やデジタル機器にも対応しています。音質はスタジオクオリティともいえる高性能なところも魅力です。
おすすめのヘッドホンアンプ5選|ポータブル型編
おすすめのポータブル型のヘッドホンアンプを5機種紹介します。
おすすめ①ONKYO DAC-HA200
DAC-HA200は、2014年にデビューしたONKYO初のポータブル型ヘッドホンアンプです。オペアンプMUSES8920を採用するなど、音質に関しては現在でも他機種に引けを取らない仕上がりです。難点はデジタルのスペックが古いこと。
おすすめ②SONY PHA-2A
PHA-2Aは、ハイレゾ対応のSONYらしい音のバランスの良さが特徴のポータブル型ヘッドホンアンプです。
4.4mmバランス出力端子を有しており、キレのよい音を楽しめます。ハイレゾ対応のサウンドソースやハイレゾ対応のヘッドホンで音楽を聴くのにぴったりです。
おすすめ③JVC SU-AX01
SU-AX01は、DA変換後は、出力までのアナログ回路にフルバランス構成を採用するなど細部にまでこだわっているポータブル型ヘッドホンアンプです。
ボディはフローティング構成を採用し剛性を高めています。また、入力は各種USB、OPTICAL入力、RCA、入力などさまざまなインターフェースに対応しています。
おすすめ④FiiO KA3
KA3は、重量110gと軽量で超小型なので持ち運びも楽なポータブル型ヘッドホンアンプです。金属製の筐体は放熱性に優れており長時間の利用も安心です。
超小型とはいえ、4.4mmバランス出力端子も有しており、音に妥協することはありません。ロスレスやハイレゾ音源も十分に楽しめる機器です。
おすすめ⑤TEAC HA-P50SE-B
HA-P50SE-Bは、32Ω負荷時には160mW+160mWという高出力のパワーアンプの搭載しており、600Ωクラスのヘッドホンまで鳴らせるパワーが魅力のポータブル型ヘッドホンアンプです。
OPA1602オペアンプを搭載しており高音質設計を採用しています。また、高級感のあるダイヤカットのボディもオシャレです。
まとめ
スマホやPCでストリーミングサービスを利用して思う存分音楽を楽しみたいという場合にヘッドホンを利用することが増えています。
しかし、よい音を楽しむのには、ヘッドホンアンプを利用するのが近道。ヘッドホンアンプは意味ないという意見もあります。本記事では、ヘッドホンアンプの効果・選び方・利用上の留意点などを説明しました。
ヘッドホンアンプが意味がないという意見が出る理由などが理解いただけたと思います。また、おすすめのヘッドホンアンプを据え置き型・ポータブル型に分けて紹介していますので参考にしてみてください。