人気の写真アプリ「Halide」の開発者が、Apple社の新型iPad Proの「カメラ機能」を強化しました。新製品発表の時期、改良されたカメラ機能を深く掘り下げて、その仕組みを教えてくれることがあるのです。
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Halideの開発者デ・ウィズ氏、新型iPad Pro搭載の「隠しマクロ機能」を明らかに!
Halide(注1)の開発者であるセバスチャン・デ・ウィズ氏は、11インチと12.9インチの新型iPad Proに搭載したカメラの様子を紹介し、その隠れた「マクロ機能(注2)」を明らかにしました。
iPad Proのカメラは、iPhoneのカメラとは異なるレンズデザインを採用しており、センサーにかなり近いものにもピントを合わせることができます。
注1:iPhone向けカメラアプリ。初心者にも簡単に扱え、最新機能やプロ仕様の機能が満載なアプリ。
注2:被写体を現実のものよりも大きくして見せる撮影技法。小さな被写体を極端にクローズアップする。
接眼のマクロ撮影が可能に!
iPhoneシリーズでは約8cmまでしかピントが合いませんが、iPadシリーズのカメラはもっと近くまで寄ることが可能です。ですからiPhoneシリーズではできない「マクロ撮影」が可能になります。
デ・ウィズ氏はある時、iPadを膝の上に置いて使っていたところ、ズボンの足にピントがぴったり合うことに気づきました。
そして他の被写体でも試してみたそうです。同氏曰く、"iPadには、基本的に顕微鏡がついていますからね”と、おどけてみせたそうです。
iPad Proの背面カメラは2020年モデルから変更なし!
11インチと12.9インチのiPad Proに搭載されている背面カメラは、2020年モデルで採用された前世代のカメラから変更されていないため、前のiPad Proでもこの接写機能を使うことができるようです。
LiDARセンサー(赤外線LEDの反射で距離を計測するセンサー)によるオートフォーカス機能では、iPad Proのカメラのピントを合わせるのは困難です。
デ・ウィズ氏は「Halide for iPad」のようなカメラアプリを使って、マクロ撮影はマニュアルフォーカスモードにすることを推奨しています。
M1版・新型iPad Proでは前面カメラが一新!
2021年M1版・新型iPad Proの最大の変更点は、前面カメラの刷新です。ビデオ通話中に、部屋の中を動き回る人に合わせてパンやズームができるように設計された、ウルトラワイド「センターステージ」機能が実現しました。
センターステージで使用されるウルトラワイドカメラ機能は「120度」の視野を持ちますが、ハードウェアではなくソフトウェア制御で実現しています。
新型iPad Proには、標準的な焦点距離とワイドビューの両方に対応するフロントカメラが1つ残っているのです。
よりシームレスな「デュアルカメラシステム」!
新型iPad Proでは、これらの12メガピクセルを前面カメラシステムに詰め込み、よりシームレスな「デュアルカメラシステム」を実現しています。
それらは全てソフトウェアで制御され、カメラは超広角ですが、ソフトウェアによる補正とメガピクセルの増加により、その広角で詳細なカメラ映像を旧来の焦点距離まで切り詰めることを可能にしました。
極小なモノを大きく写すマクロ撮影の魅力とは?
被写体を現実のものよりも大きくして見せるマクロ撮影では、ありふれた世界は消え、新しい世界が出現する楽しみがあります。
例えば身近な「冷蔵庫の中のベリー」を撮影するにしても、マクロ撮影すると、不思議で魅力的な質感が表現できます。
こうした「マクロ撮影」が、iPad Pro搭載のカメラ1つで実現できることは大いなる技術革新でもあり、写真撮影の新しい楽しさを手軽に味わえる最適解とも言えるでしょう。