Apple Vision Proの従来のVR用HMDにはないリアルな映像で話題です。では、Apple Vision Proの解像度はどのくらいなのでしょうか?解像度を上げるだけで鮮明映像が得られるのでしょうか。その理由を解像感とあわせて解説していきます。
目次
Apple Vision Proの解像度はどのくらい?
2024年2月に発売が開始されたApple Vision Proは、アップルが満を持して発売した空間コンピューターで、ほかのVRデバイスと同じくヘッドセットタイプのデバイスです。
そして、Apple Vision Proで見える世界は、現実と仮想の区別があまりないといえるほど鮮明なものとして評判になっています。
Apple Vision Proでも、ヘッドセットにはディスプレイが搭載されており、このディスプレイに映し出された映像を見ているのです。
Apple Vision ProはXR(クロスレアリティ)製品としてアップルが満を持して発売した製品。
ヘッドセットのディスプレイを通じてみる世界は、人間の目に映る実世界と空間コンピューターが生み出す加増世界の映像をミックスして映し出すものであり、
そのため、現実と仮想を区別させない映像を生み出す高精細なディスプレが必要とされるのです。
そこで、ここでは、Apple Vision Proの解像度はどのくらいのものなのかなどをわかりやすく解説していきます。
Apple Vision Proの解像度
Apple Vision Proはヘッドセットの中に、2つの小さなディスプレイを搭載しており、それぞれ左右の目でそのディスプレイを見るようになっています。
そして、この片目用のディスプレイには、解像度が3800×3000ドットのマイクロ有機液晶ディスプレイ(OELD)が使用されています。
PC用のディスプレイの解像度には、以下のような種類があります。
- 8K:7680×4320
- 4K:3840×2160
- WQHD:2560×1440
- フルHD:1920×1080
- UXGA:1600×1200
- WXGA++:1600×900
- SXGA:1280×1024
- HD:1280×720
これで見てもわかるように、Apple Vision Proの解像度は4Kに匹敵する高精細なモノなのです。
Apple Vision Proのディスプレイサイズ
PCのディスプレイだと、そのサイズは15インチ~20インチぐらいが一般的によく利用されています。
4Kや8Kが話題となるテレビのモニタは最近では50インチ以上のモノも一般に普及しています。
一方、Apple Vision Proのディスプレイは、約6.3㎠(0.98平方インチ)であり、約2.5cm四方程度と小さなものなのです。
というのも、Apple Vision Proのヘッドセット内に搭載されて片目で見る範囲に限定されています。
このことから、あまり大きくても見えない領域が増えてしまい無駄になりますし、大きくなって重くなるのはヘッドセット搭載には不利だからです。
Apple Vision Proのピクセルは赤血球と同じサイズ
上記で詳しく説明したように、Apple Vision Proのディスプレイは、約2.5cm四方程度と小さなものであるにもかかかわらず、解像度は3800×3000ドットと高精細です。
これをピクセル密度に換算すると3386ppiとなり、iPhone16Proのディスプレイのピクセル密度が460ppiですから、なんとその約10倍程度の密度となっています。
これからわかることは、Apple Vision Proのディスプレイの各ピクセルの大きさは、一辺が7.5µmと非常に微小サイズとなっており、例えていうと、血液中の赤血球の大きさと同程度のサイズなのです。
これを見るだけでも、Apple Vision Proが如何に最新のテクノロジーを採用した製品であるかが伺えます。
Apple Vision Proで鮮明に見える理由とは?
上記の説明では、Apple Vision Proのヘッドセットには最新のテクノロジーを採用した高解像度高密度のマイクロ有機液晶ディスプレイ(OELD)が搭載されていることを説明しました。
では、Apple Vision Proの映像が鮮明で綺麗といわれるのは、マイクロ有機液晶ディスプレイ(OELD)が高解像度なものであるためだけでしょうか?
結論から言うと、鮮明な映像を得るには、単に解像度が高いだけでは不十分なのです。
以下では、Apple Vision Proで鮮明に見える理由を順序だてて説明していきます。
鮮明に見えるのは解像度が高いだけではない
映像が鮮明に見えるかを考えるには、解像度だけでは不十分なのです。
たとえば、テレビを見ている状況を考えてみてください。
解像度の低いテレビを近くによってみる場合と、高精細な大画面テレビを遠くから見る場合で、見え方が同じように感じることはありませんか?
このように、鮮明に見えるかは、ディスプレイの解像度だけで決まってくるのではなく、ディスプレイと目の距離や視野がどれくらいあるかも関係してくるのです。
以下では、Apple Vision Proが他のヘッドセットタイプのデバイスと比べて鮮明に見える理由を説明していきます。
解像感(PPD)とは?
モノが鮮明に見えているということは、人間の目で見た時に、目の網膜にどれくらいの細かさでモノが映し出されているのかで決まり、これを解像感(PPD)と呼びます。
この解像感を測る単位がPPD(Pixel Per Degree)で、視野1度中に含まれるドット数で表し、Apple Vision Proの解像感は50~55程度。
一体型VRヘッドセットとして有名なOculus Quest 2が20PPD程度と言われているので、その3倍程度と性能アップしています。
裸眼で視力1.0は60PPDと言われていますから、Apple Vision Proは視力1.0の見え方に匹敵しているともいえるのです。
ヘッドマウントディスプレイは視野角が重視される
VR用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)でHMDで覆ってしまい、視野はHMDを通して出ないと得られない構造となっています。
このため、HMDを通じて自然に見えるようにするには視野角(Field of View:FoV)を広くとることが必要となります。
視野角が広ければ、いちいち視線を変更しなくても全体が見え、ゲーム操作に集中しやすくなるのです。
しかし、HMDで視野角を広くとるには、さまざまな技術を必要とします。
HMDではディスプレイの前にレンズを置いて映像を拡大して見せる仕組みのため、ディスプレイの解像度・レンズの種類・ディスプレイと目の距離などのバランスを最適化した構造が必要となるのです。
高解像度のディスプレイは高価になり、コンピューターも高性能なものが必要となります。
また、画角を広げるようとするとレンズも厚さがまし、ディスプレイと目の距離が広がってしまいます。
このように、さまざま技術のトレードオフが必要なのですが、一般的なゲーム用のHMDでは、没入感を増加させるために、解像感よりもFoV重視で設計されていると言われています。
Apple Vision Proでは現実に近い解像感を再現
Apple Vision Proでは、これまでのHMDがFoVを重視してきたのに対して、より自然な見え方つまり現実に近い解像感を実現することを重視して製品化されていると言われています。
具体的には、2.5cm四方と小型ながら解像度が3800×3000ドットと高精細なマイクロ有機液晶ディスプレイ(OELD)を採用して、視力1.0に相当するPPDを実現することで、これまでにない現実感を味わえるデバイスとなっているのです。
まとめ
ここまで、Apple Vision Proが従来のVR用HMDにはないリアルな映像を実現できている理由について解説してきました。
Apple Vision Proでは鮮明な映像を得るために、2.5cm四方と小型ながら解像度が3800×3000ドットと高精細なマイクロ有機液晶ディスプレイ(OELD)を採用して、視力1.0に相当する解像感(PPD)を実現しているのがポイントです。