ChatGPTがテキスト生成系の生成AIとして誕生して以来、生成AIで様々なコンテンツを作成できるようになりました。
この記事では、動画を作成できる生成AIサービスについて、また生成AIで動画を作成するメリットや動画を生成する上での注意点を解説します。
目次
動画生成AIとは
動画生成AIというのは、テキストや動画などから情報を得た人工知能が映像や音楽などを組み合わせ「新しい動画」を自動的に作り出す技術です。
動画を制作するためには、撮影や編集など、多大な時間と労力が必要でした。
しかし現在では動画生成AIを利用し、こうしたプロセスに時間をかけることなく、質の高い動画を自動的に作れるようになりました。
以前はこうした動画を生成する場合、膨大な複雑なデータが必要でしたが、難易度の高い動画生成を短時間で作成できるようにしたのが、ランウェイ社とOpenAI社です。
- 2023年 アメリカ ランウェイ社 「Gen-2」発表・・テキストを元に高品質動画を生成
- 2024年 アメリカ OpenAI社 「Sora」発表・・・最長1分のクオリティの高い動画生成
この動画生成AIの技術革新によって、動画生成AIは一気に世界へ知れ渡ることになりました。
動画生成AIでできること
動画生成AIでは、サービスによってできることや内容に違いがあります。
動画生成AIでどのようなことをしたいかによって、サービスを使い分ける必要があるのです。
具体的にどのようなサービスがあるか解説します。
テキストから動画生成
- テキストから動画を生成できる「動画生成AI」
【Pika Labs・Runway Gen2】
画像のイメージ・構図・サイズ比率などをテキストで入力することで、自動的に動画が生成されます。
例えば「小さい女の子がボールを追いかけている」といったテキストを入力することで、指示に沿った動画が作られるのです。
テキスト入力から動画を生成できる「動画生成AI」では、カメラをズームイン・ズームアウトできるほか、動きの強弱なども表現できます。
サービスによって動画のクオリティや機能、生成動画の長さなどに違いがあるので確認が必要です。
画像から動画生成
- 画像から動画を生成できる「動画生成AI」
【Pika Labs・Runway Gen2】
静止画1枚のデータから動画を生成できるサービスです。
静止画をアップロードすれば、AIが数秒程度の動画を自動的に生成します。
例えばバスケットをしている学生を撮影した静止画をアップロードすれば、バスケットボールの動きや試合中の表情などが動く動画が生成されるのです。
複数の画像をアップロードし、これらの画像を組み合わせることでアニメーションを作ることもできます。
SNSの投稿・ニュースなどから動画生成
- SNSの投稿やニュースなどから動画を生成できる「動画生成AI」
【GliaCloud】
Webに公開されているSNSの投稿やニュース、スポーツの統計データなどから動画を生成できるサービスです。
動画を生成したいWebページのURLをサービスに入力すれば、AIがテキスト内容を解析し、自動的に動画を自動生成します。
またこのサービスでは、Webページに適したナレーションや効果音・BGMなども組み合わせます。
企業の商品紹介動画など、ビジネスシーンで活躍する動画生成AIです。
画像からダンス動画
- 画層からダンス動画を生成できる「動画生成AI」
【AIピカソのAIダンス】
このサービスでは、写真やイラストなど静止画を1枚アップロードすることで、画像内の人物などがダンスする動画を自動生成できます。
アップロードした画像に映っている人物とその姿勢を抽出し、いくつものダンスパターンを組み合わせ質の高いダンス動画を自動生成します。
複数タイプからダンスの種類を選択でき、テンポを調整したり、BGMを入れたり、様々な調整も可能です。
ダンスが苦手な人でも、素敵なダンス動画を生成できます。
動画を作成できる生成AIサービス
動画を作成できる生成AIサービスを8つ紹介します。
- Runway
- Pika
- Pictory.AI
- FlexClip
- PixVerse
- View
- Dream Machine
- Canva
動画だけでなく静止画を生成できるサービスもあるので、それぞれの特徴を把握して選びましょう。
Runway
「Runway」は最大25秒の動画をテキストのプロンプトから作成できます。
最先端AI「Stable Diffusion」の開発元としても知られているRunway社の動画生成AIサービスです。
無料でも利用はできますが、作成できる動画の時間が25秒と短いため、SNSなどにアップロードする動画なら有料プランへの加入がおすすめです。
直感的な操作が魅力のRunwayは、特定の領域を動作させるモーションプラン機能やモザイク・ぼかしなど機能も充実しています。
プラン | 月額料金 | 生成できる動画の時間 |
Free | 無料 | 25秒 |
Standard | 12ドル | 125秒 |
Pro | 28ドル | 450秒 |
Ultimate | 76ドル | 無制限 |
Pika
「Pika」はアニメーション系の動画を作成できる生成AIです。
生成した動画のスタイルを変更することもできますし、カメラワークなども自由に調整できます。
実写動画の作成も可能ですが3Dのアニメーションを得意としており、カートゥーンと呼ばれる「ひとこまマンガ」も得意です。
プロンプトにかなり忠実で質の高い動画を生成でき、同じ条件で複数パターンを繰り返し生成することも可能となっています。
プラン | 月額料金 | 生成できる動画の時間 |
基本 | 無料 | 75秒(250クレジット) |
標準 | 10ドル | 210秒(700クレジット) |
無制限 | 35ドル | 600秒(2,000クレジット) |
プロ | 70ドル | 無制限 |
Pictory.AI
「Pictory.AI」は非常にシンプルなUIで、知識や技術がなくても簡単に動画を作成できる生成AIです。
リアルな映像や音声などをテキストから簡単に作り出します。
SEO対策をした動画の作成も可能で、AI字幕やAI音声の添付も可能でブログ作成にも活かせるサービスです。
Web会議を録画してハイライトを作成する機能もあるので、オンライン会議の議事録代わりにも利用できます。
別パターンを作成したい場合は、同じテキストを入力すれば「別のパターン動画」が作れます。
プラン | 月額料金 | 生成できる動画の本数 |
Freer | 無料 | 3本 |
Starter | 25ドル | 30本 |
Professional | 49ドル | 60本 |
Team | 119ドル | 90本 |
FlexClip
「FlexClip」は、SNS・ビジネスなど幅広い用途に利用できる生成AIです。
非常に幅広い用途に利用でき、プロ品質の画像を簡単に作成できます。
テンプレートが豊富なほか、カット編集・BGMなど編集に必要な基本機能はほぼそろっています。
YouTubeでもAI音声のまとめ動画が人気ですが、FlexClip内にAI音声をつける機能があるのは大きな魅力ですね。
テキストを入力すれば自動的にプロンプトが生成され、そこから複数のシーンを使った動画が生まれます。
プラン | 月額料金 | 生成できる動画の本数 |
無料 | 無料 | なし |
プラス | 15.99ドル | 200回 |
ビジネス | 23.99ドル | 500回 |
PixVerse
「PixVerse」は4つのスタイル(現実・アニメ・3Dアニメ・CG)から好みの動画を作成できる生成AIです。
動画のスタイル・サイズ以外、動画から排除したい要素も指定できます。
商用利用は禁止されているので、動画配信のための利用には不向きです。
これから先、機能の改善や追加などが期待される動画生成サービスといえます。
プラン | 月額料金 | 毎月の更新クレジット |
ベーシック | 無料 | 15クレジット |
標準 | 5ドル | 50クレジット |
無制限 | 30ドル | 無制限 |
View
「View」はAIによって脚本と動画の作成を一度で作成できる生成AIです。
AI音声分析もしてくれるので、自分で撮った動画のテロップを自動で挿入することも可能です。
音声の途切れや無音、言い間違いなどもAIが自動的に検出してカットしてくれるので効率よく編集できます。
AI音声は500種類以上あるので、ナレーション・吹き替えを利用したい方にも人気となっています。
商用利用も可能なので、動画で収益を稼ぎたいかたにもおすすめです。
プラン | 月額料金 | 生成できる動画の時間 |
Free | 無料 | 3,000字/回 |
Light | 1,090円 | 10,000字/回 |
Standard | 1,990円 | 10,000字/回 |
Business | 4,490円 | 10,000字/回 |
Dream Machine
「Dream Machine」は国や地域などの制限されることなく利用できる生成AIです。
テキストや画像を元に品質の高い動画を作成します。
静止画をアップロードすれば、その画像を元に動画を生成することも可能です。
非常に動画のクオリティが高いことが特徴で、クリエイターやマーケターからも注目を浴びています。
プラン | 月額料金 | 生成できる動画の回数 |
無料 | 無料 | 3回 |
スタンダード | 29.99ドル | 120回 |
プロ | 99.99ドル | 400回 |
プレミアム | 499.99ドル | 2,000回 |
Canva
「Canva」はブラウザやスマホアプリで使えるデザインツールです。
動画生成AIですが、オンラインデザインツールといった方がいいでしょう。
ビジネスカードやポスターのほか、プレゼンのデザインなども気軽に作成可能です。
手動でのデザインだけでなく、生成AIを使った動画や静止画ももちろん作れます。
オンライン以外にモバイルアプリもありますので、外出先で作業もできますね。
有料プランに加入すれば、動画以外のツールも利用できるので、1つのツールで複数の作業をしたい方におすすめです。
プラン | 月額料金 |
無料 | 無料 |
プロ | 1,180円 |
チーム | 1,500円/人 |
エンタープライズ | カスタム |
動画生成AIで作成するメリット
動画生成AIを使って動画を作成するメリットを3つ紹介します。
- 動画編集の知識や技術なしで動画を作成できる
動画生成AIを利用すれば、動画編集の知識を持っていなくても気軽にチャレンジできます。
SNSでもたくさんの楽しい動画がアップされていますが、そういった動画も楽に作れます。 - 動画編集にかかるコスト・時間の削減ができる
動画編集を一からやろうとすれば、コストも時間もかかります。
動画生成AIを利用することで、コストも時間も削減可能です。 - 品質の高い動画を作れる
動画生成AIを利用することで品質の高い動画を作成できます。
今後、さらに動画編集はAIを利用したものになっていくと予想され、動画生成AIサービスの技術もさらに上がっていくでしょう。
動画生成AIで作成するデメリット
動画生成AIサービスが誕生したことで、動画の作成が身近なものとなり、色々な場面で気軽に動画の作成ができるようになりました。
しかし動画生成AIを利用するデメリットが全くないわけではありません。
- ディープフェイクを作成する可能性がある
最も懸念すべきデメリットは「ディープフェイク」問題です。
AIはまだ未成熟な部分があり、誤情報の判別など行うことができません。
間違っていることを学習したままディープフェイクが作られてしまうこともあるのです。 - 人の仕事が奪われる
動画生成AIが作り出した動画の最終的な調整は、現在、人が行っています。
しかしこの先、動画生成AIの技術がさらに進むことで、この最後の調整や修正もAIが行えるようになるかもしれません。
動画に関すること以外でも、AIの進出によって人の仕事が奪われる可能性は十分あります。
動画系生成AIで作成する際に注意するポイント
動画系の生成AIを利用する上で注意するポイントを紹介します。
動画に限らず、生成AIはまだまだ発展途上です。
それらのことを理解して利用する必要があります。
著作権侵害の可能性
生成AIに動画の作成を丸投げしてしまうと、知らない間に著作権侵害をしてしまうリスクが生じます。
生成AIは、ネット上にある情報から学びそれを動画にしています。
ネット上には著作権物がたくさんアップされていますが、AIはそれをしっかり判別できない可能性があります。
もしかすると著作権侵害したものをそのまま動画に反映させているかもしれません。
仮に生成AIが著作権侵害をした動画を作りだし、それをアップロードした場合、アップロードした人間が罰せられます。
- 違法アップロードに対する罰則 1,000万円以下の罰金または10年以下の懲役もしくは併科(罰金と懲役両方)
また罰則だけではなく著者から「損害賠償請求」される可能性もゼロではありません。
こうしたことを避けるためにも、動画生成AIが作成した動画の最終チェックは、必ず「人」が行いましょう。
商用利用について規約の確認
動画生成AIサービスの中には、商用利用をNGとしているところがあります。
商用利用とは、その動画を利用して収益をあげることをさします。
YouTubeなどの動画配信サービスも配信数が伸びれば収益につながりますので、商用利用の1つです。
動画生成AIサービスができたことで、誰でも楽しく動画を作成できるようになりましたが、逆にいうと誰でも規約・ルールに反してしまう可能性があるということになります。
作成した動画をアップロードする際には、規約やルールをしっかり守りましょう。
プロンプトの入力に工夫が必要
動画の生成AIを使って独自性の高い動画を作るには、プロンプトの入力に工夫が必要です。
プロンプトとは、生成AIに指示を出すためのテキストをさします。
一般的なプロンプトだけを入力しただけでは、高品質な動画になりません。
人が見て面白い・魅力があると感じてもらえる動画を作るためには、動画生成AIを利用する際のプロンプトが重要です。
また動画投稿に力を入れたいのであれば、利用できる機能に制限がある無料版よりも、有料版にする方がいいでしょう。
情報の正確性の確認
生成AIが作成した動画をアップロードする前に、著作権侵害だけでなく真偽を確認するファクトチェックも重要です。
SNSでは動画の投稿が多くなっていますが、本物なのかどうか判別できないくらい精巧に作成された「ディープフェイク」も見かけます
あまり考えたくないことですが、「人を貶めよう(おとしめよう)」と考えるとき、動画生成AIは便利なツールになってしまうのです。
しかし匿名投稿したディープフェイク動画であっても、開示請求を行うことで投稿主を突き止めることもできます。
動画生成AIで動画を作成する際には、悪意のあるアップロードにならないように、常識を持って投稿しましょう。
まとめ
この記事では以下のことを紹介しました。
- おすすめの動画生成AIサービス
- 動画編集に生成AIを導入するメリット
- 動画に生成AIを導入する際に注意するポイント
すでに生成AIは世の中に浸透しています。
今後は、動画生成AIの技術もさらに高まっていくでしょう。
生成AIの導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。