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スピリチュアル詐欺の手口と被害を受けないための基礎知識を解説

2022年11月24日

スピリチュアル詐欺とは霊感や占いを悪用し、人の心の隙を突いて不当な高額金銭を詐取する悪徳商法です。スピリチュアル詐欺の被害に遭った場合は警察へ届出する他、消費者センターや弁護士へ相談するなどして被害を最小限に留めます。騙されやすい人の特徴なども解説します。

スピリチュアル詐欺とは霊感があるかように振る舞い不当に高額金銭を取る悪徳商法

スピリチュアル詐欺とは、新興宗教団体などによる「霊感商法」と似ていて、あたかも霊感などがあるふりをして、あの手この手で心理状態を揺さぶり、最後には高額なお金を騙し取る被害のことです。

スピリチュアル詐欺においては、被害者はほぼ「洗脳」状態にあり、通常の感覚ではあり得ない金額をためらいなく支払ったりしてしまい、当人は「騙されている」という意識が非常に薄弱です。

以下、本記事ではスピリチュアル詐欺の被害に至る手口や、被害に遭いやすい人の分類、またもしもスピリチュアル詐欺に遭ってしまった場合にどうすればいいのかなどを解説していきます。

不安感に付けこむ巧妙さ

まずスピリチュアル詐欺の第一歩とは、誰でも持っている心の不安感をあおることから始まります。その不安に付けこみ、占いや霊能力など、科学で証明できない不思議な力で不幸を追い払おうとします。

事前にその相手の現状や素性を調べているようなことも多く、心当たりのある不安の部分を見抜く振舞いをすることも多くあります。

それが占いであったり霊感という説明不能な能力によるものと思い込ませるのです。

スピリチュアル詐欺の特徴と手口

スピリチュアル詐欺の巧妙な手口と、それらを支えるいくつかの特徴や言い分を見ていきましょう。

最も特徴的と言えるのは、スピリチュアル詐欺の被害に遭っている当人たちには、ほとんど被害者意識がないことです。

つまり普通は考えられないようなモノに対し、自発的に高額な金銭を支払ったりすることが見られます。

カリスマを頂点とするピラミッド型

スピリチュアル詐欺は、個人ではなく団体組織で営まれていることがほとんどです。

しかもその団体の中には明確な「ピラミッド構造」があり、カリスマ的存在の人物がいます。

集会のような場には、すでに洗脳されつつある「信者」がいることから、そのカリスマの言葉には重みと信ぴょう性が感じられるような心理状態に誘導されていきます。

「豊かさを簡単に手にいれる」という文句

またスピリチュアル詐欺では、お金は苦労せずとも簡単に手に入るものだと諭すことが多いです。

何の苦労もなくいとも簡単に、あるいはまた極端な場合には、一切何もせず「豊かさ」を手に入れられると説いてきます。

豊かさを得るために、高額のセミナーを受講して己の「波動」を浄化させるだけで、人は幸せを得られると説いてきます。

「お金は使わないと入ってこない」と正当化

スピリチュアル詐欺での最も特徴的な「常套句」として挙げられるのは、「お金は使わなければ、決して入っては来ない」というレトリックです。

カリスマを頂点とするその団体に対し、巨額の金銭をねん出しても安心なのだと正当化しているのです。出したお金の何倍ものお金は、後から必ず入ってくると力説します。

「前世を癒すことでより幸せに」と証明できない事柄を利用

「前世」という世界が本当にあるのかどうかは不明ですが、スピリチュアル詐欺では多くの場合、今のあなたに降りかかる問題は、実は「前世」に問題があるからだと、霊感を使って語ってきます。

被害に遭う方としては、前世に何があったのかなど知ることもできないですから、それを払拭するためにお金さえ払えばよくなると言われると心も揺れることでしょう。

自尊心をくすぐる「カルマを解消」

「カルマ」という言葉がスピリチュアル詐欺ではよく利用されます。広義の意味では、前世から引きずった「災い」「罪」などのことを指すようです。

そしてこのカルマさえ取り払えば、あなたは元々「神性」の高い存在であるとか、位の高い天使であるなど自尊心をくすぐるような持ち上げ方もしてきます。

本来の自分は、そんなにも位の高い人間であるなら、カルマを解消してしまうためのお金を自ら支払う気持ちにさせられたりするのです。

スピリチュアル詐欺で騙されたり被害を受けないために過信は禁物

スピリチュアル詐欺の被害に遭いやすいケースとしては、自分だけは「騙されるはずがない」という、過信を持っている場合が多いようです。

前世に問題があるとか、それ自体証明のしようがない怪しげなことを言う人物の言葉には、「自分は騙されない」という過信がむしろ邪魔をします。

最初から疑ってかかるくらいの慎重さが必要なのです。

お金の事を言い出したら縁の切れ目

そして何かの縁でそうしたスピリチュアル詐欺的な人や団体と接してしまったような場合、確実に「お金」の話に行きつきます。

最初のセミナーや除霊など、相手のフィールドに入る時に少額だったとしても、それは高レベルなものになるにつけ、金額が上昇します。

お金を支払って何かがよくなる、というお話まで来たら、そこで思い切って振り払う勇気が要るでしょう。いくらかでも取られても、取り返そうと躍起にならず、諦めて「去る」ことが肝要かもしれません。

相手の心の隙間や信頼をたくみに突いてくる発言に要注意

スピリチュアル詐欺では相手を洗脳状態にするために、印象が悪い言葉と印象が良い言葉を巧みに組み合わせて、冷静さを失なうように仕掛けてきます。

印象の悪い言葉

例えば印象の悪い言葉としては、次のような言葉があります。

  • そのカルマを解消しないとあなたの魂は消えてしまう
  • あなたはあと3年で必ず病気になるから今のうちに手を打たないと間に合わない
  • 私は大天使だがあなたが私と同レベルになるには30年でも無理だろう

このようなことを断定的に言われてしまうと、どんな冷静な人でも嫌な気分になり反論もしたくなるでしょう。

こうした根拠も何もない否定的な言葉は次の、良い印象の言葉のための「伏線」として言い放つ言葉でもあります。

印象の良い言葉

先に突き放すような否定的な言葉を浴びせられたあとに、聞こえのいい印象の良い言葉を言われたら、どんな心理状態になるでしょう。

  • あなたの前世は王室仕えの大貴族でした
  • あなたの背には羽が生え始めチャクラが完全に覚醒するまで間もなくです
  • あなたにはまだ自覚はないだろうが、すでに天界で「王」として大いなる任務についたところなのです

下げてから、持ち上げるのは、二枚舌の人間の得意技です。こうした両極端な言葉を巧みに使われて、やがて正常な感覚を麻痺させることが狙いです。

日常生活においても、常識的には意識しない、「前世」や「天界」、あるいは「大天使」などの怪しげなワードを語る人からは距離を置いたほうが賢明でしょう。

騙されやすい人の特徴

では、スピリチュアル詐欺の被害に遭いやすい人というのは、どんな特徴を持つ人でしょうか。

実はそうした人には、ある一定の類似点が多いので、それらを以下にまとめてみました。

情報弱者・社会経験が少ない人

世間で「情弱」というように世間知らず扱いされる人、また若さなどもあり社会経験が少ない人は、スピリチュアル詐欺の被害になりやすいです。

これはある意味当然の結果なのですが、スピリチュアル詐欺のカリスマの放つ言葉には力があり、それが騙しのテクニックと気づくだけの経験値がないからなのです。

占いやスピリチュアルが好きな人

占いや、スピリチュアルなことが普段から好きな人も要注意です。

目に見えないこともすぐに信じてしまったり、占いで良いことだけでなく、悪いことも盲信してしまう傾向の人は気を付けましょう。

スピリチュアル詐欺を仕掛けてくる人は、そういう傾向の人を狙えば成功率が上がることをよく知っています。

寂しがりやな人

寂しがり屋な人とは、言い換えれば誰かと関わっていないと不安になってしまうような人のことです。

そこにいる相手と同調して、同じような行動様式を取ろうとします。

嫌われたくない一心から、相手の強い言葉に対抗して断るということが出来にくいのです。自分はその傾向があると思う方は、どうか注意して下さい。

優柔不断な人

優柔不断な人というのは、まず自分で何かを決めようという意思が欠如しています。そのため周囲の環境に流されやすく、みんながそうなら自分も、という思考方法で動いたりします。

カリスマ性のある人の言葉であれば、特にそれは正しいと決めてしまうことも多いでしょう。

被害に遭わないためには、スピリチュアル詐欺の手口をよく理解しておく必要性があるでしょう。

マニュアル通りにしか行動できない人

マニュアル人間というタイプの人も多く、何か意外性のある出来事に対しては、焦って冷静さを欠いてしまいがちです。

その場に合わせた臨機応変な行動がとれずに、詐欺師の誘導に乗ってしまいます。

一見、マニュアル人間はハメを外さない冷静さを持っているようで、実は詐欺師からすれば、隙だらけの存在に見えるのでしょう。

自分で考えて判断しない人

そもそも自分で考えて判断をしない人というのは、相手の言う言葉を全て鵜呑みにして、それを自分の判断と置き換えている場合があります。

前述した、情弱や優柔不断な人と重なる部分もあります。

物事の根拠を調べようとすることが面倒であったりするようでは、周囲に流されるのも当然でしょう。

人懐っこい人

やたらに人懐っこい人というのもいるもので、それ自体はあまり嫌われの対象とはならないかもしれませんが、それは「嫌われたくない」心の裏返しでもあります。

スピリチュアル詐欺師ならば、その人懐っこさな点を突いて、一気に距離を縮めてくることは簡単でしょう。

気弱な人 お人好しな性格

お人好し、あるいは気弱な人も多くいます。気弱であるがために、スピリチュアル詐欺師からは強い語気で押し切られてしまうことがあり得ます。

お人好しな人というのは、自分より相手を優先する性格ですので、親切な態度や情緒に響くような優しい態度で接近されてしまうと、いつの間にか詐欺師に心を許している、なんてこともあります。

自分に限って騙されないと信じている人

これが最も危険な人物像かもしれないのですが、自分に限っては絶対に「騙される」などということはないと、頑なに信じている人がいます。

この自信満々な状態ですと、詐欺師の揺さぶりに負けそうになっても、おそらくは他人へ相談などはしません。

周囲の意見も聞きませんから、気が付いた時には、もう遅かったというケースも多数あるようです。

「期間限定」など今だけとか割引に弱い人

騙され要素は少ないのに、「期間限定」という言葉に弱い、「割引」に敏感な人も注意すべき人物像です。

「今」それを手にしないと、明日にはもうなくなっているかもしれない、という焦燥感で動いてしまいます。

詐欺師はタイミングよく、この「期間限定」・「割引」をちらつかせます。本当は自分には無用なものでも、希少価値を感じてしまって、お金を出し終わているかもしれません。

スピリチュアル詐欺に遭ってしまった場合の対処法

では、スピリチュアル詐欺の被害に遭ってしまった場合には、どのような対処法を取ればいいのでしょうか。

スピリチュアル詐欺の特徴を先に述べましたが、被害と気づく前までは、被害者意識がほとんどないので多くの金品を騙し取られたあと、というケースが少なくありません。

警察へ被害届

やはり頼みの綱は、警察への届出ということになるでしょう。警察へ被害届を提出し、受理された場合には「逮捕」へと追い詰められる可能性はあるかもしれません。

しかしながら前述の通り、被害者が一方的に騙されたという立証が困難なケースが多く、警察も対処に困る場合もあります。

詐欺師側が実刑を恐れて、「示談」に応じてくれる方向性も出てくるような場合は、むしろラッキーなケースと言えるかもしれません。

消費者センターに被害相談

警察のように捜査などは行いませんが、消費者センターには詐欺も含めた、各種の消費被害の相談が数多く寄せられています。消費者センターでのメリットは、同様の手口での相談がある場合です。

同一の団体による被害なのであれば、消費者センターの仲介を経て、集団訴訟を起こせる可能性もあるのです。

泣き寝入りしてしまう前に、一度は消費者センターへ相談してみることをおすすめします。

弁護士に相談・依頼

悪質なスピリチュアル詐欺の被害に遭ってしまい、非常に高額な金銭を詐取された場合などは、専門の弁護士に相談することもあるでしょう。そのまま弁護士に依頼し、訴訟で返金を求めることも出来ます。

弁護士への相談ともなると、その弁護士相談費用などが気になりますが、最初の何分かは「無料相談」などの入り口もあります。

やはり法律のスペシャリストとして、弁護士ほど頼りになる存在はそういません。

まとめ

まとめ

スピリチュアル詐欺の被害の実態と、霊感や占いなどよく使われる手口と、よく使われる言葉などを紹介しました。また、スピリチュアル詐欺の被害に遭いやすいタイプの人物像についても検証してみました。

かつての「霊感商法」から進化した騙しのテクニックであるスピリチュアル詐欺では、被害に遭っている人はその期間洗脳状態にあることから、被害者意識がないことが多いです。

このため周囲の声も届かず、多額の金品を騙し取られてから気づくケースがよくあります。被害に遭ってしまった方は、警察に届け出をする、消費者センターや弁護士に相談するなど早めの手を打って下さい。